金曜日, 6月 15, 2007

02年の法規シリーズ、最初の2問の、補足。

ここの補足です。

問1
電験によく出題される法律としては、基本法である電気事業法のほかに、電気用品安全法、
電気工事士法および電気工事業の業務の適正化に関する法律の四つがある。
いずれも第1条に法の目的があり、本問では条文がそのまま出題されている。
平成9年にも電気事業法と電気用品安全法(旧電気用品取締法)からほぼ同内容で出題されている。

電気事業法の目的は、次のように手段とそのねらいに分けることができる。

(1)「電気事業の運営を適性かつ合理的ならしめること(手段1)」によるねらい
 1.電気の使用者の利益を保護する事
 2.電気事業の健全な発達を図ること

(2)「電気工作物の工事、維持および運用を帰省する事(手段2)」によるねらい
 3.公共の安全を確保すること
 4.環境の保全を図ること

電気工事業の業務の適正化に関する法律、電気用品安全法および電気工事士法は、
一般用電気工作物および小規模自家用電気工作物の保安確保の為の法律である。

一般用電気工作物は、民家や商店などの小規模電気工作物で、その工事は電気工事士など
有資格者が行い、工事に使用する器具や配線材料は、電気用品安全法の適用を受けるものを
使用するように規定されている。

電気工事士法における「一般用電気工作物」および「自家用電気工作物」は、
同法第2条「用語の定義」で定義されているが、引用元は電気事業法である。
電気工事士法における「自家用電気工作物」は、電気事業法に規定する自家用電気工作物のうち、
最大電力500kW未満の需要設備が対象になる。
したがって、大容量の自家用電気工作物は、電気工事士法などの対象ではなく、
保安規定に基づいた自主保安体制がとられる。

問2
aは電気事業法施工規則第65条「工事計画の事前届出」別表第2からの出題、
bは、電気事業法第48条「工事計画」からの出題、
cは、電気事業法第50条の2「使用前安全管理検査」からの出題である。

事業用電気工作物の設置または変更の工事で、公共の安全確保上特に重要なものとして
経済産業省令で定めるものをしようとするときは、大臣の認可を受けるよう規定されている
(電気事業法第47条)

事業用電気工作物の設置または変更の工事で、経済産業省令で定めるものをしようとするときは、
大臣に届け出るよう規定されている(電気事業法第48条)。

この問題は、受電所における変圧器の改造工事なので、
工事の種類は「変電所の変更の工事のうち変圧器」であり、aの工事内容及び規模の場合は、
「事前届出を要するもの」に該当する。

届出のあった工事計画に関しては、届出が受理されてから30日の間に、
経済産業大臣が次の観点で審査を行い、必要があれば工事計画の変更命令を行う。

 1.電気設備技術基準への適合
 2.発電用水力の有効利用の確保
 3.電気の円滑な供給の確保

届出をして設置又は変更の工事をする事業用電気工作物の設置者は、
電気工作物の使用開始前に「使用前自主検査」を行い、その結果を記録して5年間保存するよう
規定されている。

使用前検査の対象とならない設備には、下記のようなものがある(抜粋)。

 1.水力発電所で、出力3万kW未満、ダムの高さ15未満のもの
(※電圧160kV以上の需要家連絡用以外の送電線に連結する遮断器がある場合は、
その遮断器は検査対象となる)
 2.内燃力発電所
 3.電力用コンデンサ、分路リアクトル、限流リアクトルで変更の工事をする発・変電所に属するもの
 4.非常用予備発電装置
 5.設備の場所の状況又は工事の内容により、経済産業大臣が支障ないと認めて定めたもの

以上、です。