日曜日, 7月 15, 2007

法規。電気事業法から3問(補足)

ここの補足、です。

問1 電気工作物に関する記述
【解説】
電気事業法第56条、第57条及び電気事業法施工規則第96条からの出題である。

一般電気工作物の所有者又は占有者は、一般的に電気に対する知識が十分でないと考えるのが妥当であり、電気供給者に技術基準に適合しているかの調査義務を定めている。調査頻度として、一般用電気工作物の設置(変更)時と、4年に1回と定めている。

a.の項は、電気事業法第56条、b.及びc.の項は電気事業法第57条、d.の項は電気事業法施工規則第96条となる。

【電気事業法】
【第56条(技術基準適合命令)】
経済産業大臣は、一般用電気工作物が経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、その所有者または占有者に対し、その技術基準に適合するように一般用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限する事ができる。

2 第39条第2項(第三号及び第四号を除く)の規定は前項の経済産業省令に準用する。

【第57条(調査の義務)】
一般用電気工作物において使用する電気を供給する者(以下この条、次条及び第89条において「電気供給者」という)は、経済産業省令で定めるところにより、その供給する電気を使用する一般用電気工作物が前条第1項の経済産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。ただし、その一般用電気工作物の設置の場所に立ち入る事につき、その所有者又は占有者の承諾を得ることができないときは、この限りでない。

2 電気供給者は、前項の規定による調査の結果、一般用電気工作物が前条第1項の経済産業省令で定める技術基準に適合していないと認めるときは、遅滞無く、その技術基準に適合するようにするためにとるべき措置及びその措置をとらなかった場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知しなければならない。

3 経済産業大臣は、電気供給者が第1項の規定による調査若しくは前項の規定による通知をせず、またはその調査若しくは通知の方法が適当でないときは、その電気供給者に対し、その調査若しくは通知を行い、又はその調査若しくは通知の方法を改善すべき事を命ずることができる。

4 電気供給者は、帳簿を備え、第1項の規定による調査及び第2項の規定による通知に関する業務に関し経済産業省令で定める事項を記載しなければならない。

5 前項の帳簿は、経済産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。

【電気事業法施工規則】
【第96条(一般用電気工作物の調査)】
法第57条第1項の規定による調査は、次の各号により行うものとする。

一 調査は、一般用電気工作物が設置されたとき及び変更の工事(ロに掲げる一般用電気工作物にあっては、受電電力の容量の変更を伴う変更の工事に限る)が完成した時に行うほか、次に掲げる頻度で行うこと。

イ ロに掲げる一般用電気工作物以外の一般用電気工作物にあっては、4年に1回以上

ロ 民法第34条の規定に基づき設立された社団法人、中小起業等協同組合法第27条の2の規定に基づき設立された事業協同組合又は中小企業団体の組織に関する法律第42条の規定に基づき設立された工業組合(組合員に出資をさせる者に限る)であって、一般用電気工作物の所有者又は占有者から一般用電気工作物の維持及び運用に関する保安の業務(以下「保守管理業務」という)を受託する事業を行うことについて、当該受託事業を行う区域を管轄する産業保安監督部長(当該受託事業を行う区域が二以上の産業保安監督部の管轄区域にわたるときは、経済産業大臣、以下「所轄産業保安監督部長」という)の承認を受けたもの(以下「承認法人」という)が保守管理業務を受託している一般用電気工作物(以下「受託電気工作物」という)にあっては、5年に1回以上

二 法第57条第2項の規定による通知をした時は、その通知に係る一般用電気工作物について、その通知後相当の期間を経過したときに、その一般用電気工作物の所有者または占有者の求めに応じ再び調査を行うこと。

三 調査は、法第90条第1項第二号イからハまでのいずれかに該当する者が行うこと。

四 調査を行う者(以下「調査員」という)は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があった時はこれを提示する事。

五 調査は、測定器又は目視による方法その他の適切な方法により行うこと。

【ポイント】
・一般用電気工作物の調査
・電気供給者が調査義務
・新設、増設時に実施
・4年に1回実施(一般的に)

問2 電気事業法における自主的保安
【解説】
電気事業法第42条、第43条および電気事業法施行規則第50条からの出題である。

a.,b.の項は電気事業法第42条、c.の項は電気事業法第43条、d.の項は電気事業法施工規則第50条となる。自主的保安に関する事項として、事業用電気工作物の設置者に、主任技術者を選任、保安規定の作成・遵守義務、電気設備技術基準に適合させる義務のほかに、発電用のボイラ・タービンの接地者に対して定期的自主検査の義務を課している。

事業用電気工作物の保安体制として、設問の自主的保安体制と国の直接監督がある。

国の直接監督として、
1.一定規模以上の電気工作物の工事を行う場合に、認可または事前届出する義務
2.工事完成時の使用前検査を受ける義務
3.自家用電気工作物の使用開始届出の義務
4.定期報告及び電気事故発生時の報告義務
がある。

【第42条(保安規定)】
事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため、経済産業省令で定めるところにより、保安を一体的に確保する事が必要な事業用電気工作物の組織ごとに保安規定を定め、当該組織における事業用電気工作物の使用(第50条の2第1項の自主検査又は第52条第1項の事業者検査に伴うものにあっては、その工事)の開始前に、経済産業大臣に届け出なければならない。

2 事業用電気工作物を設置する者は、保安規定を変更した時は、遅滞なく、変更した時効を経済産業大臣に届け出なければならない。

3 経済産業大臣は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安を確保するため必要があると認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、保安規定を変更すべき事を命ずる事ができる。

4 事業用電気工作物を設置する者及びその従業者は、保安規定を守らなければならない。

【第43条(主任技術者)】
事業用電気工作物を設置する者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、経済産業省令で定めるところにより、主任技術者を選任しなければならない。

2 自家用電気工作物を設置する者は、前項の規定にかかわらず、経済産業大辞任の許可を受けて、主任技術者免状の交付を受けていないものを主任技術者として選任することができる。

3 事業用電気工作物を設置する者は、主任技術者を選任したとき(前項の許可を受けて選任した場合を除く)は、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。これを解任した時も、同様とする。

4 主任技術者は、事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。

5 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者は、主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければならない。

【電気事業法施工規則】
【第50条(保安規定)】
法第42条第1項の保安規定は、使用前自主検査、溶接事業者検査又は定期事業者検査(以下「法定事業者検査」と総称する)を実施する組織については次の第一号から第九号までに掲げる事項について、それ以外の組織については次の第一号から第七号まで及び第九号に掲げる事項について定めるものとする。ただし、鉱山保安法、鉄道営業法、軌道法又は鉄道事業法が適用され又は準用される自家用電気工作物については、発電所、変電所及び送電線路に係る次の事項について、原子力設備については、蒸気タービン、補助ボイラー並びに補助ボイラーに属する燃料燃焼設備及びばい煙(大気汚染防止法第2条第1項に規定するものをいう、以下同じ)の処理設備(以下「ばい煙処理設備」という)の工事、維持及び運用に関する保安のため必要な次の事項並びに溶接事業者検査にかかわる次の第八号に掲げる事項について定める事をもって足りる。

一 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理するものの職務及び組織に関すること。
ニ 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する保安教育に関すること。
三 事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する保安のための巡視、点検及び検査に関すること。
四 事業用電機工作物の運転又は操作に関すること。
五 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること
六 災害その他非常の場合にとるべき措置に関すること
七 事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての記録に関すること
八 事業用電気工作物の法定自主検査に係る実施体制及び記録の保存に関すること
九 その他事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安に関し必要な事項

【ポイント】
・事業用電気工作の保安体制
   ・・・自主的保安
      ・・・技術基準の適合
      ・・・保安規定の作成と遵守
      ・・・主任技術者の選任
      ・・・定期自主検査
   ・・・国の直接監督
      ・・・工事計画の認可と届出
      ・・・使用前検査と定期検査
      ・・・使用開始前届
      ・・・定期報告と事故報告
      ・・・立入検査と改善命令


問3 電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法
【解説】
電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法の第1条および第2条からの出題である。
a.の項は第1条、b.の項は第2条である。目的にあるように、新エネルギーの利用を促進することで環境問題等を保全する。電鍵の問題には、合わないようにも感じるが、一般電気事業者だけに課せられた内容でなく特定および特定規模電気事業者にも当てはまる。また、新エネルギーの分類についても理解してほしい。

【第1条(目的)】
この法律は、内外の経済的社会的環境に応じたエネルギーの安定的かつ適切な供給の確保に資するため、電気事業者による新エネルギー等の利用に関する必要な措置を講ずることとし、もって環境の保全に寄与し、および国民経済の健全な発展に資することを目的とする。

【第2条(定義)】
この法律において「電気事業者」とは、電気事業法第2条第1項第二号に規定する一般電気事業者、同項第六号に規定する特定電気事業者および同項第八号に規定する特定規模電気事業者という。

2 この法律において「新エネルギー等」とは、次に掲げるエネルギーをいう。

一 風力
ニ 太陽光
三 地熱
四 水力(政令で定めるものに限る)
五 バイオマス(動植物に由来する有機物であって、エネルギー源として利用する事ができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品を除く)をいう)を熱源とする熱
六 前各号に掲げるもののほか、石油(原油及び揮発油、重油その他の石油製品をいう、以下同じ)を熱源とする熱意外のエネルギーであって、政令で定めるもの

3 この法律において「新エネルギー等電気」とは、新エネルギー等発電設備を用いて新エネルギー等を変換して得られる電気をいう。

4 この法律において「新エネルギー等発電設備」とは、新エネルギー等を電気に変換する設備であって、第9条第1項の規定により認定を受けたものをいう

5 この法律において「利用」とは、供給する電気、供給電気(電気事業者に供給するものを除く)の全部又は一部を新エネルギー等電気にすることをいう。

【第3条(新エネルギー等電気の利用目標)】
経済産業大臣は、4年ごとに、総合資源エネルギー調査会の意見を聴いて、経済産業省令で定めるところにより、当該年度以降の8年間についての電気事業者による新エネルギー等電気の利用の目標(以下「新エネルギー等電気利用目標」という)を定めなければならない。

2 新エネルギー等電気利用目標に定める事項は、次のとおりとする。

一 新エネルギー等電気の利用の目標量に関する事項
ニ 新たに設置すべき新エネルギー等発電設備に関する事項
三 その他経済産業省令で定める事項

3 経済産業大臣は、新エネルギー等の普及の状況、石油の需給時事情その他の経済的社会的事情の著しい変動のため特に必要があると認めるときは、総合資源エネルギー調査会の意見を聴いて、新エネルギー等電気利用目標を変更するものとする。

4 経済産業大臣は、新エネルギー等電気利用目標を定め、又は変更しようとするときは、政令で定めるるところにより、あらかじめ、環境大臣及び農林水産大臣又は国土交通大臣の意見を聴かなければならない。

5 経済産業大臣は、新エネルギー等電気利用目標を定め、又は変更した時は、遅滞なく、これを告示するものとする。

【施行令第1条(政令で定める水力)】
電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法(以下「法」という)第2条第2項第四号の政令で定める水力は、水路式の水力発電所(出力が千キロワット以下であるものに限る)の原動力として用いられる水力とする。

【ポイント】
対象事業者:一般電気事業者、特定電気事業者、特定規模電気事業者

新エネルギー:一:風力 ニ:太陽光 三:地熱 四:水路式水力発電所(1000kW以下)
五:バイオマスを熱源とする熱 六:石油を熱源とする熱以外のエネルギー

以上です。