土曜日, 7月 14, 2007

法規練習問題(続きの3問)、の、補足

ここの補足です。

問5
「電気事業法第57条 調査の義務」と
「電気事業法施行規則第96条 一般用電気工作物の調査」からの出題。

一般用電気工作物の所有者又は占有者は、電気的知識が十分でない者
であるため、電気供給者に、その工作物が、電気設備技術基準に
適合しているかの調査義務を課している。

【電気事業法第57条(調査の義務)】
一般用電気工作物において使用する電気を供給する者は、
経済産業省令で定めるところにより、その供給する電気を使用する
一般用電気工作物が前条第1項の経済産業省令で定める
技術基準に適合しているかどうかを調査しなければならない。
ただし、その一般用電気工作物の設置の場所に立ち入る事につき、
その所有者又は占有者の承諾を得る事ができないときは、この限りでない。

2 電気供給者は、前項の規定による調査の結果、一般用電気工作物が
前条第1項の経済産業省令で定める技術基準に適合していないと
認めるときは、遅滞なく、その技術基準にてきごうするようにするために
とるべき措置及びその措置をとらなかった場合に生ずべき結果を
その所有者又は占有者に通知しなければならない。

3 経済産業大臣は、電気供給者が第1項の規定による調査若しくは
前項の規定による通知をせず、又はその調査若しくは通知の方法が
適当でないときは、その電気供給者に対し、その調査若しくは通知を行い、
又はその調査若しくは通知の方法を改善すべきことを命ずることができる。

4 電気供給者は、帳簿を備え、第1項の規定による調査及び第2項の
規定による通知に関する業務に関し経済産業省令で定める事項を
記載しなければならない。

5 前項の帳簿は、経済産業省令で定めるところにより、保存しなければならない。

【電気事業法第57条の2(調査業務の委託)】
 電気供給者は、経済産業大臣の登録を受けた者(以下「登録調査機関」という)に、その電気供給者が供給する電気を使用する一般用電気工作物について、その一般用電気工作物が第56条第1項の経済産業省令で定める技術基準に適合しているかどうかを調査すること並びにその調査の結果その一般用電気工作物がその技術基準に適合していないときは、その技術基準に適合するようにするためにとるべき措置及びその措置をとらなかった場合に生ずべき結果をその所有者又は占有者に通知すること(以下「調査業務」という)を委託することができる。

2 電気供給者は、前項の規定により登録調査機関に調査業務を委託したときは、遅滞なく、その旨を経済産業大臣に届け出なければならない。委託に係る契約が効力を失ったときも、同様とする。

3 前条第1項の規定は、電位供給者が第1項の規定により登録調査機関に調査業務を委託しているときは、その委託に係る一般用電気工作物については、適用しない。

【電気事業法第90条(登録の基準)】
(中略)
ニ 次のいずれかに該当するものが調査業務を実施するものである事

イ 第44条第1項第一号から第三号までに掲げる種類の主任技術者免状の交付を受けている者
ロ 電気工事士法(昭和35年法律第139号)第3条第1項に規定する第1種電気工事士又は第2項に規定する第2種電気工事士
ハ 学校教育法に基づく大学、高等専門学校、高等学校若しくは中等教育学校、旧大学令に基づく大学、旧専門学校令に基づく専門学校又は旧中等学校令(昭和18年勅令第36号)に基づく実業学校において電気工学の過程又はこれに相当する過程を修めて卒業した者

【電気事業法施行規則第96条】
法第57条第1項の規定による調査は、次の各号により行うものとする。

一 調査は、一般用電気工作物が設置された時及び変更の工事(ロに掲げる一般用電気工作物にあっては、受電電力の容量の変更を伴う変更の工事に限る)が完成した時に行うほか、次に掲げる頻度で行う事。

イ ロに掲げる一般用電気工作物以外の一般用電気工作物にあっては、4年に1回以上
ロ 民法の規定に基づき設立された社団法人、中小企業等協同組合法第27条の2の規定に基づき設立された事業協同組合又は中小企業団体の組織に関する法律第42条の規定に基づき設立された工業組合(組合員に出資をさせるものに限る)であって、一般用電気工作物の所有者又は占有者から一般用電気工作物の維持及び運用に関する保安の業務(以下「保守管理業務」という)を受託する事業を行うことについて、当該受託事業を行う区域を管轄する経済産業局長(当該受託事業を行う区域が二以上の経済産業局長の管轄区域にわたるときは、経済産業大臣、以下「所轄経済産業局長」という)の承認を受けたもの(以下「承認法人」という)が保守管理業務を受託している一般用電気工作物(以下「受託電気工作物」という)にあっては、5年に1回以上

ニ 法第57条第2項の規定による通知をしたときは、その通知にかかわる一般用電気工作物について、その通知後相当の期間を経過したときに、その一般用電気工作物の所有者又は占有者の求めに応じて再び調査を行うこと

三 調査は、電気工事士法(昭和35年法律第139号)第4条第4項各号の者と同等以上の知識及び技能を有する者が行うこと

四 調査を行う者(以下「調査員」という)は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示すること

問6
「技術基準の解釈第1条 用語の定義」からの出題である。平成16年に解釈の改正が行われ、用語の説明に十六~二十七が追加された。これは、電力自由化がさらに進む中、電力系統に連携する発電所等に関する事項が追加されている。

【解釈第1条 用語の定義】
第1条第15号の次に、以下を追加する。

十六 「解列」とは、電力系統から発電設備等を切り離す事をいう
十七 「解列箇所」とは、遮断装置又は遮断器を用いて、電力系統から発電設備等を解列することのできる箇所をいう。
十八 「逆潮流」とは、一般用電気事業者及び卸電気事業者以外の発電設備等設置者の構内から、一般用電気事業者が運用する電力系統側へ向かう有効電力の流れをいう。
十九 「単独運転」とは、発電設備等が連係している電力系統が、事故等によって系統電源と切り離された状態において、連係している発電設備等の運転だけで発電を継続し、線路負荷に有効電力を供給している状態をいう。
二十 「逆充電」とは、一般電気事業者及び卸電気事業者以外の者が設置する発電設備のみが、一般電気事業者が運用する電力系統を加圧し、かつ当該電力系統へ有効電力を供給していない状態をいう。
二十一 「自立運転」とは、発電設備等が電力系統から解列された状態において、当該発電設備等設置者の構内負荷にのみ電力を供給している状態をいう。
二十二 「逆変換装置」とは、電力用半導体素子のスイッチング作用を利用して、直流電力を交流電力に変換する装置をいう。
二十三 「線路無電圧確認装置」とは、電線路の電圧の有無を確認するための装置をいう。
二十四 「転送遮断装置」とは、遮断器の遮断信号を通信回線で伝送し、別の構内に設置された遮断器を動作させる装置をいう。
二十五 「受動的方式の単独運転検出装置」とは、発電設備等が単独運転に移行した際、電圧位相又は周波数等の変化を検出することで、単独運転状態を検出する装置をいう。
二十六 「能動的方式の単独運転検出装置」とは、発電設備等の有効電力出力又は無効電力出力等に常時から変動を与えておき、発電設備等が単独運転に移行した際に生じる周波数等の変化を検出することで、単独運転状態を検出する装置をいう。
二十七 「スポットネットワーク受電方式」とは、スポットネットワーク配電線で受電し、各回線に設置された受電変圧器を介して二次側をネットワーク母線で並列接続した受電方式をいう。

問7
 解釈第19条の1線地絡電流の計算式からの出題である。
 架空電線に対するLの延長は、電線延長であるが、ケーブルに対するL’の延長は、線路延長である。架空線の場合は、三相を全線に布設するとは限らず、2線だけの箇所もあるため計算に注意が必要。

【解釈第19条】
3 第1項の高圧側の電路の1線地絡電流は、実測値又は次の計算式により計算した値となる
一 中性点非接地式高圧電路(次号に規定するものを除く)
イ 電線にケーブル以外のものを使用する電路

I1=1+{(V/3×L-100)/150}
(右辺の第2項の値は、小数点以下は切り上げる。I1が2未満となる場合は、2とする)

ロ 電線にケーブルを使用する電路

I1=1+{(V/3×L’-1)/2}
(右辺の第2項の値は、小数点以下は切り上げる。I1が2未満となる場合は、2とする)

ハ 電線にケーブル以外のものを使用する電路と電線にケーブルを使用する電路とからなる電路

I1=1+{(V/3×L-100)/150}+{(V/3×L’-1)/2}
(右辺の第2項及び第3項の値は、それぞれの値がふとなる場合は、0とする。I1の値は、小数点以下は切り上げる。I1が2未満となる場合は、2とする)

 I1は、1線地絡電流(Aを単位とする)。
 Vは、電路の交渉電圧を1.1で除した電圧(kVを単位とする)。
 Lは、同一母線に接続される高圧電路(電線にケーブルを使用するものを除く)の電線延長(kmを単位とする)。
 L'は、同一母線に接続される高圧電路(電線にケーブルを使用するものに限る)の線路延長(kmを単位とする)。

ニ 中性点接地式高圧電路及び大地から絶縁しないで使用する電気ボイラー、電気炉等を直接接続する中性点非接地式高圧電路。

I2=√{I1^2+(V^2/3R^2)×10^6}
(小数点以下は切り上げる)

 I2は、1線地絡電流(Aを単位とする)
 I1は、前号により計算した1線地絡電流
 Vは、電路の交渉電圧(kVを単位とする)
 Rは、中性点に使用する抵抗器の電気抵抗値
(中性点の接地工事の接地抵抗値を含むものとし、Ωを単位とする)


三 中性点リアクトル接地式高圧電路

I3=√[{(V/√3)/(R^2+X^2) ・10^}^
     {I1-(V/√3)・X/(R^+X^)・10^}^

(小数点以下は切り上げる。I1が2未満となる場合は、2とする)

 I3が、2未満となる場合は、2とする。
 I3は、1線地絡電流(Aを単位とする)
 I1は、第一号により計算した電流値
 Vは、電路の公称電圧(kVを単位とする)
 Rは、中性点に使用するリアクトルの電気抵抗値
(中性点の接地工事の接地抵抗値を含むものとし、Ωを単位とする)
 Xは、中性点使用するリアクトルの誘導リアクタンスの値(Ωを単位とする)

4 第1項の特別高圧側の電路の1線地絡電流は、実測値によるものとする。ただし、実測値を測定する事が困難な場合は、線路定数等により計算した値による事ができる。

以上です。
3問あると、長いなぁ…。

あと、法規の追加、って、またありましたね。