水曜日, 8月 01, 2007

理論、電子回路の問題の補足。

ここの補足です。

問1 ダイオード及び演算増幅器を用いた温度検出回路

手書き図に導出過程などを。

【解説】
ポイント
・ダイオードの順方向電圧Vfは負の温度特性を持ち、一般に室温付近では温度と比例関係にある。
・理想演算増幅器の性質を理解すること。
・演算増幅器の非反転増幅回路の電圧増幅率を求められること。

ダ イオードの順方向電圧Vfは負の温度特性をもち、一般に室温付近では概ね-2mV/℃の温度特性を持つ。つまり、ダイオードの温度が1度上昇すると、Vf が2mV低下することになる。温度に対して順方向電圧が比例関係にあり取り扱いが容易であるが、電圧変化率が小さいため、ノイズに弱い。したがって、設問 の図に示すように演算増幅器を使用した電圧増幅回路を設けて安定して温度検出ができる回路を用いる。

(2)について。
理想演算増幅器の性質。
演算増幅器→二つの入力端子電圧の差電圧を演算増幅器自信の電圧増幅率で増幅して出力端子から電圧出力として取り出す回路である。

≪理想演算増幅器の性質≫
a.電圧増幅率は無限大
b.入力端子の入力インピーダンスは無限大
c.出力端子の出力インピーダンスはゼロ
d.電圧増幅率は入力信号の周波数によって変化しない、出力信号は減衰しない

演算増幅器の回路計算で利用するのは前記四つの性質のうち、主にa.およびb.である。この性質を使った回路計算の考え方を次に説明する。

ま ずは、前述の性質から導かれる演算増幅器の入力端子間電圧について説明する。図のように(手書きの最下図)、二つの入力端子のプラス端子(非反転入力端子 と呼ばれる)の電圧をV+、マイナス端子(反転入力端子と呼ばれる)の電圧をV-、演算増幅器自身の電圧増幅率をAopとすると、出力端子電圧Voは、 Vo=(V+-V-)×Aopと表せる。

理想演算増幅器の性質a.から、電圧増幅率は無限大である。一方、出力電圧Voはある有限の値となる。電圧増幅率が無限大であってもVoが有限の値であるためには、V+-V-=0でなければならない。

つまり、通常の動作時には、理想演算増幅器の二つの入力端子電圧は等しい事になる。

さ らに、b.の性質により、入力端子に流れる電流はゼロである。この二つの動作は入力電流はゼロであるが、入力端子間電圧は等しい事を示しており、「仮想 ショート」または「イマジナリショート」と呼ばれている。演算増幅器を用いた回路計算では仮想ショートの概念が大変重要である。

図において、非反転入力端子の入力電圧V+は入力電圧源Vinであり、反転入力端子電圧V-は、前述の仮想ショートの考え方により、V-=Vinである。したがって、抵抗R1を流れる電流I1は、
I1=Vin/R1

演算増幅器の入力電流はゼロであるので、電流I1と等しい電流が抵抗R2に流れる(I2=I1)。抵抗R2の両端子電圧はR2×I2であるから出力電圧Voは、

Vo=V-+R2×I2=Vin+R2×Vin/R1
  =Vin×(1+R2/R1)

と表せる。したがって、非反転増幅回路の増幅率Avは、

Av=Vo/Vin=A+R2/R1

【ダイオード以外の主な温度検出素子】
・ 白金測温抵抗体:金属の抵抗を測って温度を求める温度センサを測温抵抗体と呼ぶ。温度上昇に対して抵抗値が直線的に増加する特性を持つ。その中でも、化学 的に安定でしかも高純度のものが得られやすい白金抵抗温度センサは、価格が高いが、耐環境性によく、長期安定しており、JISに規定され標準温度計に用い られている。

・サーミスタ:半導体の温度特性を利用した半導体抵抗温度センサのサーミスタは、抵抗温度変化特性の直線性が悪く、測定精度も低いが、小型で白金抵抗体の10倍くらい感度が良いので、温度センサとしては現在最も広く実用されている。

サー ミスタにはNTCとPTCの2種類の感温素子がある。NTCは、温度の上昇に対して指数関数的に抵抗値が減少する特性を持つ。常温の抵抗値が高く、温度に 対する抵抗値変化量が大きい事から、一般には温度検出用途に使用されることが多い。通常サーミスタというとNTCタイプをいう。

・熱電 対:二種類の金属で回路を作り、その二つの接合点を異なる温度に保つと熱起電力が生じ電流が流れる「ゼーベック効果」の原理を利用した温度センサである。 熱電対では原則として、測温接点の温度を知るためには、基準接点の温度を一定にする必要があり、一般に基準接点の温度を0℃にとって起電力が定義される。