水曜日, 10月 31, 2007

二種二次試験電力管理、H11問5,6、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。

問5
【解説】
変圧器の絶縁耐力試験の具体的な試験回路に関する実務的な問題である。

一般に、定格電圧110(kV)以上の変圧器は中性点側に絶縁方式を採用しており、誘導法により絶縁耐力試験を行うため試験方法の自由度が大きい反面、各部分の発生電圧に十分注意する必要がある。

問題の回路の一次側Y巻線U相、W相を2相直列に接続して単相電圧を印加する場合、中性点Oの電位が印加電圧の1/2になる保障はない。鉄心が三脚鉄心の場合を考え、各相の巻線の作る磁束をΦ,Φ,Φとすると、

Φ+Φ+Φ=0

五脚鉄心、外鉄形、単相変圧器3台接続の場合はさらに多くの磁路が存在するが、デルタ巻線があるので必ず同じ関係式が成り立つ。

したがって、残りのV相の巻線を短絡してΦ=0とすれば、

Φ=-Φ

となり、中性点Oの電位は印加電圧の1/2倍になる。

変圧器二次側の誘導電圧を計算するときは、Y-Δ結線なので、変圧比は154000/√3(V)/6600(V)であることに注意しよう。

ま た、電気設備技術基準の解釈第17条で示されている単相交流電源による試験方法は、「試験される巻線の中性点端子及び接地される端子以外の任意の1端子と 大地との間に単相交流の試験電圧を連続して10分間加え、さらに中性点端子と大地との間に最大使用電圧の0.64倍の電圧を連続して10分間加える」もの である。問題の回路はW相を接地してU相に試験電圧を印加する回路を示しているが、接地相を取替えて合計3回試験する。さらに、それだけでは中性点には試 験電圧の1/2倍の電圧しか印加されないので、1.1/√3=0.64倍の電圧を印加して試験する。

問6
【解説】
非常用 予備発電装置は、消防法で定める「非常電源」、建築基準法で定める「予備電源」として防災用設備に電力を供給するために設置されるものと、自衛上の保安電 力の供給のために設置されるものがあり、商用電源が停電した場合に確実に始動・運転できる機能・性能を維持しておくことが重要である。

非 常用発電装置は、設置場所の気温、湿度、じんあいなどの周囲条件、運転時間、始動・停止回数などに応じて徐々に劣化し、当初具備していた機能や安全性を失 い、このまま放置すると、故障による起動不能、停止や機能の損傷、感電災害、火災などに至る恐れがある。また、いざ起動した場合に所用の時間、運転を維持 するためには、原動機の燃料、潤滑油、冷却水などの状態を十分に管理するとともに、これらの供給系統の付属機器類の性能維持にも留意しなければならない。

こ のため、計画的に実施するのが保守点検であり、いつでも始動できる状態を保つために日常的に実施する点検、設備全体の機能・性能を維持していくため詳細か つ入念に部品、機材などの点検、手入れ、調整、交換の実施と運転待機状態、始動時間、その際の異常の有無を確認する点検、5~6年程度ごとに行う分解・整 備・組立試験(いわゆるオーバーホール)がある。


以上です。