火曜日, 10月 30, 2007

二種二次試験電力管理、H11問3,4、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。

問3
【解説】
保護継電器として具備すべき基本条件に関する出題である。

保 護継電器は雷、風雨、雪など様々な自然現象に伴う事故、設備の経年劣化等による事故が発生した場合に、高速にこれを検出し、事故区間を識別して必要最小限 の停止で事故設備を電力系統から切り離し、事故設備の損傷拡大防止・保安確保、健全設備による電力供給の継続確保のため、遮断器に遮断指令を出す責務を持 つ。

このため、確実に事故を検出できる検出感度、事故点を識別し最小の設備停止範囲とするための選択性、安定度維持と設備損傷の極限化の ための高速性、いつでも確実な動作と不要な動作を回避できる信頼性が要求される。このほか、運転状態に応じた適切な整定、長期にわたる機能維持が可能な運 用保守性、適用系統に応じた経済性も必要になる。

保護継電器は、主保護と後備保護に大別される。主保護は高速性、事故点の選択性を重視 し、事故が発生した場合に必要最小限の停止で事故除去を行なうものである。これに対して、後備保護は主保護継電器の誤不動作、遮断器の遮断失敗などにより 事故が除去できなかった場合のバックアップとして、やや停止範囲は広く、事故除去時間も遅くなるが、確実に事故除去することを目的としたものである。これ らを組み合わせることにより、電力系統全体として的確な保護システムが形成されている。

問4
【解説】
電線のたるみの計算式を導出する問題である。

電線の材質が均等で完全な可とう性を持っている場合、電線上のあらゆる点において、張力の方向と電線の方向すなわち電線の曲線式の接続方向は一致する。

最下点Oから距離Xの点Pまでの電線の長さをLとすると、その点の電線張力は水平張力Tと電線の重量WLのベクトル和と釣り合うので、

dY/dX=WL/T=L/a

ただし、a=T/W

また、
dL=√{(dX)^2+(dY)^2}

これらの式をX=0の時、L=0,Y=0として解くと、

L=a sinh(X/a)

Y=a cosh(X/a)−a

なる関係式が得られる。

これらを級数に展開すると、

L=a{X/a+1/3!・(X/a)^3+
1/5!(X/a)^5+1/7!(X/a)^7+…}

Y=a{1+1/2!・(X/a)^2+
1/4!(X/a)^4+1/6!(X/a)^6+…}−a

上記Yの式においてa》Xなので、{}内の第3項以下を無視すると、

Y=a{1+1/2!・(X/a)^2}−a=X^2/2a

を得る。a=T/W、X=S/2を代入すれば、たるみの式となる。

支持点A,B間に高低差がある場合についても、最下点の左側と右側それぞれについて考えれば同様の式が成り立つ。これをもとにS,Dを求めれば解答のような式になる。支持点に高低差がある場合、図2の直線ABと電線との垂直距離の最大値を斜弛度と呼び、水平距離で支持点AとBとの中間点S/2の地点に生じる。斜弛度は径間長と水平張力が等しい支持点に高低差がない場合の弛度に等しい。

以上です。