水曜日, 10月 10, 2007

二種二次試験電力管理、H15問5,6、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。


問5
【解説】
(1)配電自動化の目的
配電自動化は、
・設備利用率の向上
・労働環境の改善と省力化
・停電時間の短縮によるサービスの向上
を主な目的として導入している。

(2)配電自動化の効果
(a)設備利用率の向上
従 来、配電線の稼働率は、事故時に隣接配電線から負荷を救済することを前提として常時稼働率を設定していた。配電自動化の導入により、コンピュータを活用し た系統運用が可能となり、事故時には隣接配電線以外の遠く離れた裕度のある配電線にいったん負荷を切り換える多段切り替えが可能となった。これにより、配 電線が既に備えている切り換え能力を有効に活用し、配電線の常時稼働率を高める事が可能となった。現在までの運転実績から、当初の想定以上の効果があるこ とが確認されている。

(b)労働環境の改善と省力化
配電自動化の導入により現地出向業務が削減できるため、労働環境の改善と省力化が図れる。また、コンピュータを利用して、工事のための切り換え手順の自動作成・自動実行などが実施できるため、机上業務の省力かも図れる。

(c)停電時間の短縮によるサービスの向上
開閉器の遠方操作により、配電線事故発生時、需要家に対して早期切り換え送電が可能となり、電力供給の信頼度要請への効率的な対応が図れる。

(3)配電自動化システムの概要
高 圧配電線の事故による停電範囲の縮小化と停電時間の短縮を目的として、線路用開閉器の自動制御化および遠方制御化を目指した配電自動化が昭和20年代の配 電線故障区間検出装置の導入によって始まった。その後、これらの配電線故障情報を伝送する監視装置の開発、線路開閉器の遠方制御装置の開発と進み、昭和 50年代からは、制御用電算機を使った配電線自動制御システムの実験プラントの導入が始まり、現在ではこの実用化システムが開発・導入されている。

配電線自動化として、各電力会社では第1表のように線路機器の監視制御、負荷集中制御、自動検針、配電管理情報の自動収集などを実施、さらには次世代に向けて送電系統・配電系統の制御、つまり、流通設備部門トータルでの制御システムの総合化について開発を進めている。

(4)システムの全体構成概要
配 電自動化では、第1図に示すように支社・営業所に配電システム(コンピュータ・マンマシン)、中継所に配電用中継装置および遠方監視制御装置(親)、配電 用変電所に遠方監視制御装置(子)ならびに配電線搬送結合装置などの装置を設置し、配電線には、高圧結合器、自動開閉器、自動開閉器用遠方制御などの現地 自動化機器を設置し、運用している。

問6
【解説】
(1)4.の計算において、第3図を描きZ(%)を求めてもよい。
Z=1/{1/Z+1/(Z+Z)+1/(Z+Z+Z)}
 =0.408(%)

S2=10×100/0.40=2450(MVA)

S2=2350/(√3・66)=21.44(kA)

となり、若干値が異なってくるが、遮断容量の検討に於いては問題ないだろう。
このような問題は、電源側を指定された位置から見る場合、発電機や上位系統など各電源系統が並列となる事に着目すれば、簡単に解答を導くことができる。

(2)変電所における限流リアクトルの採用
1.直列リアクトル方式
リアクトルに常時負荷電流が流れるので、リアクトルの容量が大きくなり、安定度の低下、無効電力損失等の欠点のほか電圧調整面でも問題があるが、相変電設備の利用率を下げる事はない。

2.分離リアクトル方式
常時ほとんど負荷電流を流さないため、リアクトルの容量は小さくて良いが、送変電設備の利用率を低下させたり、系統運用を複雑にする欠点があるので、これらを十分検討してからどちらを採用するかを決定する必要がある。

(3)短絡容量が増加した場合の一般的な対応策
1.遮断器の遮断容量の増加、誘導対策の強化を図る。
遮 断器の遮断電流を増加させ、短絡電流が増加しても十分遮断できるようにする。たとえば、500(kV)、275(kV)では50(kV)を63(kA)ま で遮断できるものに取り替える。この場合、遮断できるものに取り替える。この場合、関連機器を含めた短絡強度の検討が必要になる。

また、直接接地系統で地絡を伴う短絡の場合は、付近通信線の誘導障害が大きくなるので、遮へい線の設置、中性点インピーダンスの増加、通信線への避雷器の設置により、その障害を軽減させる事が必要になる。

さらに、大地電位傾度の増大による接地物の接触電圧、歩幅電圧の増加対策について考慮する必要がある。

2.短絡強度の大きい機器を採用する。
 1.に応じて変圧器、断路器、交流機器、鉄溝などに短絡強度の大きい機器を採用する。

以上です。