火曜日, 10月 09, 2007

二種二次試験電力管理、H15問3,4、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。


問3
【解説】
S0の計算式は、三角形の「余弦の定理」を用いて次のように求める。

^2=VS0^2+VS2^2-2VS0S2cosθ
S1^2=(2VS0)^2+VS2^2-2(2VS0S2cosθ)

これらより、以下の2式を得る。

cosθ=(VS0^2+VS2^2-V^2)/2VS0S2
cosθ=(4VS0^2+VS2^2-VS1^2)/4VS0S2

これらより、

(VS0^2+VS2^2-V^2)/2VS0S2
 =(4VS0^2+VS2^2-VS1^2)/4VS0S2

よって、VS0を求めると、

2VS0^2=2VS2^2-2V^2+VS1^2-VS2^2
  =VS2^2+VS1^2-2V^2
S0^2=(VS2^2+VS1^2-2V^2)/2

よって、

S0=√{(VS2^2+VS1^2-2V^2)/2}

が求まる。

第2種の受験者であれば、余弦の定理は第3種のときにすでに学習済みの方が多く折られると思う。労せずに解答できたと思われる。(だ、そうですが…、ん~なわけ、あるかい!)

接地抵抗の測定は、一般に直読式の設置抵抗計が用いられるが、ビルなどのように建物全体が接地効果を有する場合や、変電所のメッシュ接地のような場合には、設問のような「電位降下法」により測定する。

測定上の留意点は、解答に示したとおりである。

既設の接地極を測定する場合、変電所メッシュやシールドケーブルの接地などでは送電線のグランドワイヤなどが接地極に直接または間接的に接続されるので、接地極単独の接地抵抗測定は困難な場合が多い。

このため、接地抵抗地を正確に測定するために設問のような方法が用いられ、補助接地極を変電所接地網から接地網一辺の長さの4~5倍以上離し、周囲に金属導体の埋設物がない場所に設置する必要がある。

この補助接地極の設置方法は電圧降下法による測定回路として「発変電規定」(二本電気協会編)に示されている。

問4
【解説】
(1)絶縁耐圧試験
絶縁油は、水分や不純物の混入により、その絶縁性能は著しく低下する。

変 圧器や遮断器などの絶縁油の機能劣化による事故発生を未然に防止するために絶縁油の耐圧試験を実施する。耐圧試験の装置は第1図に示すような専用のものが 使用され、12.5(mm)の球場電極2個を電極間の間隔を2.5(mm)に正確にセットしたカップに試料油を入れて行う。

試験手順は、次のとおりである。
1.カップは試料油で洗浄したあと、規定量の試料油をいれ、3分程度放置して油中の泡が完全に消えてから試験を行う。
2.試験装置の電源を入れ、試験電圧を1秒間に3000(V)程度のスピードでスムーズに上昇させていき、絶縁破壊した時の電圧値を記録しておく。
3.同一の試料油のまま、油中の泡が完全に消えるまで1~3分放置した後、再度電圧を上昇して破壊電圧を求める。これを5回繰り返す。
4.同一の試料油について、試料油を取替えて2~3の操作を繰り返す。
5.記録したデータのうち、それぞれ最初の1回目を除いた8回分のデータの平均値を求め、これを1試料の絶縁破壊電圧とする。求められた絶縁破壊電圧による絶縁油の良否の判断基準を第1表に示す。

(2)絶縁油酸価度試験
絶縁油の酸化は、主に空気中の酸素に触れることによって起こり、油の温度が高ければ高いほど酸化が促進される。

酸価測定は、絶縁油中に含まれる酸性成分を測定するもので、全酸価とは、油1(g)中に含まれる酸性成分を中和するのに要するアルカリ成分の分量で表す。

酸 価は絶縁油の油色によっておおよその目安が判断できる。これは、酸価の少ない新油は透明度が高く、酸化するにしたがって黄色から茶褐色になっていき、酸価 が0.2を超えるとスラッジが生成され始める。スラッジが生成されると、油の対流が悪くなり冷却効果が低下するので急速に油劣化が促進される。

絶縁油の全酸価の測定は、JISに定める方法と取扱が容易な簡易式の方法がある。

(a)JISによる方法
試 料油20(g)を300(ml)の三角フラスコに入れて正確に重量を測る。これにトルエン3容とエチルアルコール2容を混合した溶剤をいれ、よくかき混ぜ て溶解した後、1~3(ml)のアルカリブルー6B溶液を指示液としてN/20水酸化カリウム溶液を用いて摘出し、液の色が紫がかった青から赤に変化し、 15秒間その色を保つ事ができたときの水酸化カリウムの溶液の分量による酸価を測定する。測定の際、試料油を入れない状態で空試験を行い、試料油で使用し た水酸化カリウム溶液との差を持って水酸化カリウム溶液の分量とする。

全酸価=N(A-B)×56.1/W
N:水酸化カリウム標準液の規定度
A:摘定に要したN/20水酸化カリウム標準液の量(ml)
B:空試験に要したN/20水酸化カリウム標準液の量(ml)
W:試料の質量(g)

(b)簡易式酸価測定法の一例
第2図に示すように試料油5(ml)を試験管に入れ、これに5(ml)の抽出液を加えてよく振り、油中の酸性成分を抽出する。抽出液はベンゾールとアルコールの混合液で、酸性の間は青色で、アルカリ性になると赤色になる性質をもった液である。

この試験管に中和液(水酸化カリウム溶液)を注射式ビューレットにより一滴ずつ滴下しながらかき混ぜる。溶液が青色から赤紫色に変化した時の中和液の分量が酸価となる。

(c)測定上の注意と判定基準
試験中は炭酸ガスの影響を受けないよう十分注意する。

絶縁油の酸価の判定基準は、新油についてはJISで0.02以下と規定され、使用中の絶縁油の酸価は第2図に示すとおりである。

(3)油中ガス分析試験
油中ガス分析は運転中の変圧s期の絶縁油を採集しその溶存ガスの量及び構成比から内部異常の発生の有無や内部異常を診断するもので、運転を停止することなく行えるため現地絶縁診断方法として最も広く活用されている。

油入変圧器内部の異常現象は、絶縁破壊や局部過熱のような発熱を伴うため、これらの発熱源に接する絶縁油や固体絶縁物は熱分解により、CO、CO2、H2やCH4、C2H4などの炭化水素ガスを発生する。

一方、正常に運転している変圧器も経年劣化により絶縁材料からCO,CO2,H2CH4,C2H4、C2H6、C3H8などのガスを発生する。これらの成分のうち、CO,CO2は固体絶縁物から、それ以外は絶縁油の経年劣化により生じると考えられる。

電気共同研究会では、異常レベルを定めている。第3表に示す可燃性ガス総量および増加傾向から要注意レベル、異常レベルを定めている。可燃性ガスの中でもC2H6(アセチレン)はアーク、部分放電など高温熱分解により発生するものであるため、微量でも析出された場合、追跡調査を行う必要がある。

さらに油中ガス分析の結果から異常の種類(アーク放電、部分放電、局部過熱)や場所を判断する場合、ガスパターンによる診断法、特定ガスによる診断法などが併用されている。

一般に行われている油中ガス分析は変圧器から油を採集し、油中ガスを抽出し、ガスクロマトグラフにより分析を行う。

(4)フルフラーる分析試験(経年劣化)
油浸紙の劣化目標として、油中ガスのCO2、CO 以外から判定する新しい手法として、高速液体クロマトグラフ(HPLC)により検出される油中劣化生成物、特にフルフラール生成量と紙の重合度に相関があ るとするデータが1984年Burtonらにより示されて以来、この判定方法が注目を集め多くの検討がなされ、近年において真の断方法が確立されたもので ある。

油入変圧器の寿命は、コイル絶縁紙の引張強さが初期値の60(%)にまで低下した時点と言われており、絶縁紙の劣化が進行すると、紙の引張強さや平均重合度(繊維素の長さ)残率などの諸特性が低下するとともに、CO2+COやフルフラールなどの劣化生成物が発生する。

こ れらの諸特性の低下と劣化生成物の量との間には一定の関係が有り、フルフラール生成量と平均重合度残率との間に明らかな相関関係が成立することも確認され ている。したがって、対象とする変圧器から少量の絶縁油を採取して、高速液体クロマトグラフで分析し、フルフラール生成量を求め、この値から平均重合度残 率を推定して変圧器の経年劣化度を診断する事ができる。第3図にフルフラール生成量と平均重合度残率との関係を、第4表に絶縁劣化度判定の指標を示す。


以上です。