日曜日, 10月 07, 2007

二種二次試験機械制御過去問、H16問3,4、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。


問3
【解説】
与えられた表に記載されている単相混合ブリッジ整流回路の直流出力電圧Eと総合力率pfを示しておく。

単相混合ブリッジ整流回路は、交流電圧eの極性が反転した瞬間、ダイオードが逆バイアスされて電流を遮断する。したがって、直流出力電圧Eは、

=1/π・∫E sinωtd(ωt)(積分範囲α~π)
 =E/π[-cosωt](α~π)
 =E/π(-cosπ+cosα)
 =E/π(1+cosα)

となる。次に交流電源側の皮相電力Sは、(イ)で求めた交流側電流の実効値Iを用いれば、

S=EI/√2=(E/√2)・√(1-α/π)

となる。よって、総合力率pfは、(エ)で求めた有効電力Pを用いて次式のように求まる。

pf=P/S={E/π・(1+cosα)}/{(E/√2)√(1-α/π)}
 =√2/π・{(1+cosα)/√(1-α/π)}

問4
【解説】
ラウスの安定判別法で用いる数列は、特性方程式がsの多項式として、

s^n+an-1s^n-1+…+a1s+a0=0

と与えられたとき、次のようにして求めた数列のことをいう。

s^n  |a   an-2 an-4
s^n-1 |an-1 an-3 an-5
s^n-2 |a31  a32  a33
s^n-3 |a41  a42  a43

ただし、
31=(an-1n-2-an-3)/an-1
32=(an-1-4-a-5)/an-1
41=(a31an-3-an-132)/a31
32=(a31a-5-an-133)/a31

制御系の安定判別法には、上述したラウスの安定判別法のほか、フルビッツの安定判別法がある。フルビッツの安定判別法も特性方程式sの係数に着目して安定判別を行うものである。フルビッツの安定判別法は、制御系が安定であるための条件として、

1.特性方程式のsのすべての次数の係数が存在し、かつ同符号であること。
2.フルビッツの行列式Δの値がすべて正であること。

をあげている。

1の条件は、ラウスの安定判別法と同じであるのでフルビッツの行列式について説明する。フルビッツの行列式Δは、特性方程式におけるsの各次数の係数を用いて次数のように定義したものである。

Δ
  |an-1 an-3  …   … |
 =| a  an-2  …   … |
  |  0    0   …   … |
  |  0    0   0   a 0 

フルビッツの行列式を用いて設問(2)を解くと次のようになる。
Δ=|14|=14>0

Δ
 =|14  K |
  |40 K+1|
 =14×(K+1)-40×K>0

∴K<14/26

このようにフルビッツの安定判別法を用いてもラウスの安定判別法と同じ結果を得ることができる。

設問(4)で用いたラプラスの最終値定理は、時間関数において無限時間経過後の最終値を次式に示すようにs関数の極限値から求めることができると言う定理である。

lim f(t)=lim sF(s)
(t→∞、s→0)

制御系に単位ステップ信号を入力した時に得られる定常偏差を特に定常位置偏差という。そのほか、時間に比例して変化するランプ信号または時間の2条に比例して変化するパラボラ信号を入力したときの定常偏差は、それぞれ定常速度偏差および定常加速度偏差といわれる。

以上です。