月曜日, 10月 08, 2007

二種二次試験電力管理、H15問1,2、補足。

補足

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。


問1
【解説】
この問題は、電験第3種の受験時に学習した基礎がしっかりと身についていれば、公式を導きだすなどの作業がないので、簡単に解くことができる。

問2
【解説】
貫流ボイラ(once-through-boiler)はボイラ内に循環回路がなく、給水がボイラの一端から送り込まれると、他端から蒸気が出てくるという、いわばチューブだけで構成されたボイラである。貫流ボイラは元来、超臨界ボイラ用として考えられた方式であるが、亜臨界圧用としても採用されている。

代表的な形式として第2図(添付)に示すように、ベンソンボイラ(Benson boiler)とスルザーボイラ(Sulzer boiler)とがある。前者は、管路の途中に数箇所のヘッダ(管寄せ)を設けて連絡しているのに対し、後者は一本または数本のチューブを合流せずに延長しているのが特徴である(亜臨界圧のスルザーボイラでは気水分離器も備えている)。

貫流ボイラはドラム式ボイラに比べボイラ保有水量が少なく、負荷応答性が良いなどの特徴を有するが、一方ドラムでの給水処理ができなため、厳しい水質管理が要求される。したがって、良質な給水純度を確保するために腹水脱塩装置を持つものが多い。また、貫流ボイラは起動時や低負荷運転時に水冷壁管焼損防止のため、水冷壁管を流れる流量を一定限度以上にする必要がある。そのため、起動バイパス系統を設置している。使用圧力は10~19(MPa)(100~190(atg))級の亜臨界圧のものがあるが、最近は24~25(MPa)(246~255(atg))級の超臨界圧大容量ボイラが数多く建設されている。最大容量は国内で1000(MW)、海外で1300(MW)が運転されている。

貫流ボイラの特徴は、
1.ボイラ内に循環系統がなく、ドラムは不要である(循環比=1)
2.給水ポンプによって、強力に水を押し流すわけであるから、チューブの径は小さくてよく、またチューブ配列なども比較的自由に設計できる。
3.起動時や低負荷運転時、熱吸収量の大きい蒸発管部の流量をある一定以上に保たないと、不安定流動によりチューブを焼損するおそれがある。このため第3図のような起動バイパス回路が必要である。
4.起動バイパス系統を利用すると、急速起動が可能である。また、何らかの原因で発電機が無負荷になった時でも、ボイラは消化せずに起動バイパス系統によって運転しながら待機することもできる。
5.ボイラ内の保有水量が少ないので給水量と燃焼量とのバランスが重要で、厳密な制御が必要である。
6.給水中に不純物があると、そのままタービンまで持ち込まれるので、腹水脱塩装置の設置など厳重な水質管理対策を必要とする。

最近建設される変圧形貫流ボイラで、最も多く採用されている構造にスパイラル水冷壁がある。この特徴は、水冷壁管が約15~30°の角度で火炉外周壁を巻きながら上昇する構造であり、従来の垂直管で構成された種々の貫流ボイラに比べ管内流体の熱吸収のアンバランスが少なく、基本的には全ての水冷壁管が一様に熱吸収をすることである。変圧運転時、水冷壁管内流体は気水混合流体となるが、スパイラル水冷壁を有する貫流ボイラでは、複雑な沸騰現象に対しても安定した管内流速・管壁温度を維持することができる。

以上です。