水曜日, 5月 16, 2007

電熱の問題の補足…。

ここの補足です…。

各加熱方式についてです。

1.抵抗加熱方式
(1)直接抵抗加熱式
被加熱物に直接通電したとき、被加熱物に生じるジュール熱を利用する。
この方式の炉としては、炭素ケイ素炉、黒鉛化炉、ガラス溶融炉、アルミニウム電界炉がある。
(2)間接抵抗過熱式
発熱体に通電して生じた熱を放射・伝導・対流などによって、間接的に被加熱物に与えて加熱する。
この方式の炉として、発熱体を用いた加熱炉、炭素粒を発熱体としたクリプトール炉、
溶解塩を発熱体とした塩浴炉などがある。

2.誘導加熱方式
ソレノイド状に巻いたコイルの中に被加熱物を置き、このコイルに交流電流を流すと
交番磁束が発生して被加熱物に起電力が誘起される。
この結果、被加熱物に渦電流が流れてジュール熱を生じる。

この原理を応用した加熱炉は、商用周波数の電源を用いる低周波誘導路と、150Hz~10kHzの
周波数を使用する高周波誘導炉とに大別される。

被加熱物内部に流れる渦電流は、コイルが発生する磁束を打ち消す方向に発生する。
このため、被加熱物内部ほど磁束密度が減少し、電流は被加熱物の表面を流れるようになる。
これを表皮効果という。渦電流がどれほど被加熱物に浸透するかを表す指標として、
次式に示す浸透深さσ(cm)が定義されている。
σ=5.03√(ρ/μ・f) (cm)
ただし、f:周波数(Hz) ρ:抵抗率(μΩ・cm) μ:比透磁率

3.誘電加熱方式
2枚の平行電極間に被加熱物を置いて電極間に高周波電圧を加えると、
被加熱物内部の分子が電界方向に向きを変えようと速い周期で振動・回転を起こす。
この時、発生する摩擦熱によって加熱する方式を誘電過熱という。
誘電加熱の発熱量P(W/m^3)は誘電体損失係数εtanσに比例し、次式で示される。
P=5/9 f ε tanσ E^2 ×10^-6
ただし、f:周波数(Hz) ε:比誘電率(μΩ・cm) tanσ:誘電正接、E:電極間の電界強度(V/m)
この式が示すように、発熱量は、周波数に比例するので高い周波数の法が効率がよく、有利である。
このため、誘電加熱に用いられる周波数が、4~100MHz程度であるのに対し、
マイクロ波加熱は電界をマグネトロンで発生させた周波数が2450MHz程度のマイクロ波を用いる。
食品の加熱、殺菌、解凍、木材の乾燥・接着などに用いられている。

4.赤外加熱方式
赤外加熱方式は、1~1000μmの波長範囲の赤外線を用いる。
赤外線の光子エネルギーが小さいので物質に吸収されると、
ほとんど全てが熱エネルギーに変換される。
このため、赤外加熱は照射開始と同時に加熱が始まる。
たいていの物質は内部まで赤外線が浸透しないので、赤外加熱方式は、
表面過熱に限られる欠点を有するが、赤外放射の利点を生かして自動車のボディや、
家庭電化製品の表面塗装を焼き付け、
合成樹脂、エナメルの乾燥、紙、皮など厚さの薄い製品の加工処理に好適な加熱方式である。

以上です。長くなっちゃいました…。