木曜日, 6月 07, 2007

過渡現象の問題の補足2

ここの補足です。

出題のねらいは…、
1.正弦波交流電圧源を有する回路の過渡現象について、微分方程式を立てて一般解、
および初期条件を満足する解を求めること。

2.インダクタンスを負荷とする回路の過渡現象について動作イメージを身に付けること。
・電圧源の投入位相によって、過渡電流の大きさに違いが生じる事を理解する。
・遮断器投入など回路動作の変化時には、インダクタンス電流は連続性を持っている(急変しない)事。
これによって、過渡時には以上電流を生じる可能性があることを理解する。

らしいです。

解き方についてはメインを参照いただけたら十分かとは思いますので…、

補足の補足を。
インダクタンスを負荷とする回路に、正弦波交流電圧を印加する場合、
スイッチを投入する位相によって回路電流が大きく異なることがわかる。
電圧ゼロ位相でスイッチを投入すると、電流はゼロからスタートして半周期区間増加し続け、
電圧最大の位相で投入した場合の2倍に達する。

この現象は、変圧器を無負荷で充電した時と同じである。
変圧器の場合、励磁インダクタンスLと直列に巻線抵抗Rが存在するため、電流は次第に減衰された、
定常電流に戻るが、この問題では簡単のため直列抵抗を無視しており、
直流分の減衰がないことに注意する。
さらに、この問題では、コイルは磁気飽和せず、インダクタンス値は一定であるとして計算しているが、
変圧器では、この励磁電流によって磁気飽和を引き起こし、電流のピーク付近では
インダクタンスが低下してさらに過大な電流が流れる。
この現象が「変圧器の励磁突入電流問題」である。

また、この問題を通して、以下のようなコイルの特性を理解してほしい。
コイル電流は、定常状態では電圧に対して90度遅れの正弦波交流電流となるが、
t=0で電圧がゼロのときにスイッチが投入された場合、初期電流はゼロであるため、
電流波形はV/ωLを中心として振動する事になる。
つまり、直流分が生じる事になる。

コイル電流は、ファラデーの電磁誘導の法則“L=di/dt=v”に従って、滑らかに変化する事になり、
ゼロからある瞬間に急に変化する(不連続に変わる)ことは決してない事に注意してほしい。

だ、そうです。以上。(手書きは後に)