水曜日, 6月 27, 2007

法規03年試験問題シリーズ1~3(補足)

ここの補足です。

問1 電気工作物の「主任技術者の選任等」
電気事業法第43条は、自主的な保安体制として「事業用電気工作物を設置する者は、
事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、
経済産業省令で定めるところにより、主任技術者免状の交付を受けている者のうちから、
主任技術者を選任する事を求めている。
ただし、自家用電気工作物を設置する者は、主任技術者免状を有する者以外に、
経済産業大臣の許可を受けて、主任技術者免状の交付を受けていない者を主任技術者として
選任する事ができる。」(許可主任技術者制度)

第一種電気工事士は、最大電力500kW未満(第二種電気工事士の場合、最大電力100kW未満)
の需要設備を有する事業場(工場、ビル等)などにおいて、
許可を受ければ主任技術者となることができる。
ここの表参照
電気事業法第44条に、主任技術者免状の交付を行わないことがある者として以下が規定されている。

・電気事業法又はこれに基づく命令の規定に違反し、経済産業大臣から主任技術者免状の
返納を命ぜられた日から1年を経過しない者。

・電気事業法又はこれに基づく命令の規定に違反し、罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、
又は執行を受ける事がなくなった日から2年を経過しない者。

問2 架空電線路支持物の倒壊の防止及び基礎の安全率
平成14年台風21号の影響により発生した鉄塔損壊事故を踏まえて、
支持物の倒壊防止および基礎の安全率を問う問題である。

電技第32条に、「支持物の材料及び構造は、その支持物が支持する電線等による引張荷重、
風速40m/sの風圧荷重及び当該設置場所において通常想定される気象の変化、振動、
衝撃その他の外部環境の影響を考慮し、倒壊のおそれがないよう、安全なものでなければならない。
特別高圧架空電線路の支持物は、構造上安全なものとすることなどにより連鎖的に倒壊のおそれが
ないように施設しなければならない。」と規定されている。

解釈第116条に、連鎖的倒壊防止のために、特別高圧架空電線路における耐張型等の支持物の
施設について具体的に規定している。
(例えば、懸垂型がいしを使用する鉄塔を連続して10基以上使用する場合は、
10基以下ごとに耐張がいしを使用する鉄塔を設ける)

解釈第58条では、電技解釈の規定により耐えるべきものとされた荷重が加わる場合における
当該荷重に対する当該支持物の基礎の安全率は2以上であることとしている。
ここで、「耐えるべき荷重」は解釈第114条において、

・垂直荷重:支持物(鉄塔・がいし・腕金等)の自重、電線その他の架渉線その他の架渉線の重量、
電線張力の垂直分力、付着した氷雪の重量

・水平横荷重:線路と直角方向の荷重で、指示物や架渉線にかかる風圧、電線路が屈曲している
場合の電線路の水平角による電線張力の水平分力、断線によるねじり力

・水平縦荷重:線路方向の荷重で、支持物への風圧、架渉線の不平均張力

を考慮するよう定められている。

問3 開閉器及び遮断器に使用する圧縮空気
ガス絶縁機器の絶縁用ガスや遮断器・開閉器の操作用圧縮空気、
空気遮断器の吹付け用空気として高圧ガス(高圧空気)を使用しており、
これらの機械は電気主任技術者の保安監督範囲である。

電技第33条において、高圧ガス等による危険の防止が解釈第49条において、以下を規定している。

a.圧縮空気装置に使用する空気圧縮機、空気タンク、圧縮空気を通ずる管は、
最高使用圧力の1.5倍の水圧(水圧を連続して10分間加えて試験する事が困難である場合は、
最高使用圧力の1.25倍の気圧)を連続して10分間加えて試験を行ったとき、これに耐え、
かつ、漏洩がないものであること。

b.空気タンクは、使用圧力において、空気の補給がない状態で開閉器又は遮断器の投入及び
遮断を連続して1回以上できる容量を有するものであること。

c.空気圧縮機、空気タンク及び圧縮空気を通ずる管は、溶接により残留応力が生じたり、
ねじの締付けにより無理な荷重がかからないようにすること。

d.主空気タンクの圧力が低下した場合に自動的に圧力を回復する装置を設けること。

このほか、

e.異常検知機能(圧力計)の施設

f.使用する材料(材質、許容応力、耐食性)の規格

g.構造(形状、厚み、寸法精度)の規格

h.安全弁(最高使用圧力に到達させない機能)の施設

を規定している。

空気タンクの容量は、所内全停電状態でも空気タンクに貯蔵されている圧縮空気を使って
再投入ができ、さらに、投入直後に遮断できるだけの容量を残している必要がある。
これは、例えば、故障が除去されていない状態で投入した場合には、投入後すぐに再遮断が
必要になるためである。なお、事業用の再閉路用遮断器においては、
O-(0.35秒)-CO-(1分)-CO(Oは遮断、Cは投入)という標準動作責務もあり、
このような動作を想定して容量を設計する。

以上です。