ここの補足。
問6 燃料電池の絶縁耐力
電気設備技術基準の解釈第16条「燃料電池及び太陽電池モジュールの絶縁耐力」
および同解釈第45条「燃料電池等の保護装置」第1項からの問題である。
(1)燃料電池の絶縁耐力試験電圧は、回転器、変圧器、器具などと同様に
最大使用電圧(直流)の1.5倍の電圧となっている。
また、交流による試験が認められており、この場合は、最大使用電圧(直流)の
1倍の交流電圧となっている。
交流試験電圧の最大値(実効値×√2)が、直流電圧を1.5倍した値と
おおむね同じであり、同等の絶縁耐力と見なせることによるものである。
(2)燃料電池等の保護装置では、外部短絡事故などによる事故電流の流出によって、
また電池の燃料である水素ガス爆発によって電池が損傷するのを防止している。
第一号は、燃料電池の外部で短絡事故などが発生した場合に、
事故点への事故電流の供給を遮断し、事故電流による電池の破損を防止する物である。
第二号は、燃料電池の発電要素は、薄い電解質層によるシールで燃料ガスである
水素と酸素とを直接混合しないようにしている。このシールが破れると混合又は
反応に異常が起こり、電池電圧が低下するので、これを検知する事により
爆発などによる燃料電池の損傷を防止する物である。
なお、燃料電池の「発電要素」とは、電極と電解質層からなる電池の最小単位をいう。
第三号は、燃料電池内における燃料ガスと酸素の異常反応による温度上昇を検出し、
燃料電池の損傷を防止することを主な目的としている。
燃料電池発電設備は、燃料電池設備、燃料貯蔵設備、燃料電池、それ以降の電気設備
から構成される。このうち、燃料電池及びそれ以降の電気設備については
「電気設備技術基準の解釈」において、また、燃料電池設備及び燃料貯蔵設備については
「発電用火力設備に関する技術基準の解釈」において、おのおの規定されている。
問7 電力系統の電圧・無効電力制御
(1)電圧・無効電力制御の目的
a.電圧の維持
各母線電圧を運転目標値以内に制御し、つねに電力品質の維持に努める。
b.送電損失の軽減化による経済的運用
無効電力潮流の軽減により送電損失を最小化し経済性に寄与する。
c.系統の電圧安定度向上
定常時の電圧安定度の余裕度を高めると共に、
事故や負荷急変時の電圧回復を迅速に行えるようにする。
(2)電圧・無効電力制御の方法
a.発電機
界磁電流を制御する事により連続的に無効電力を調整するが、
その方法としては次のようなものがある。
1.自動電圧調整装置(AVR)
基準電圧と発電機出力電圧とを比較して、その偏差に応じて界磁電流を調整する。
大容量水車発電機またはタービン発電機で行われる。
2.自動無効電力調整装置(AQR)
基準無効電力になるように界磁電流を調整する。中小容量機で行われる。
3.自動力率調整装置(APR)
有効電力の値に関わらず、力率が一定になるように無効電力を調整する。
中小容量機で行われる。
b.静止形無効電力補償装置(SVC)
リアクトルに直列に接続されたサイリスタにより、
連続的かつ高速に無効電力出力を制御し、系統電圧を調整する。
c.負荷時電圧調整器付き変圧器
目標電圧と母線電圧との偏差を検出し、自動電圧調整期で変圧器タップを
自動で上下させる事により、変圧器端子電圧を調整する。
d.同期調相機
界磁電流を制御して、連続的に系統電圧を調整する。
e.並列用電力コンデンサ
系統へ遅相無効電力を供給し、系統電圧が低下しないように段階的に調整する。
f.分路リアクトル
遅相電力を系統から吸収させる事により、系統の進相電流を減少させ、
系統電圧が上昇しないように段階的に調整する。
(3)電圧・無効電力制御の方式
a.個別制御方式
この方式は、発電所のAVR運転、変電所の調相設備の自動調整や
自動電圧調整器の運転などで、主として各箇所ごとに与えられた目標電圧の
維持を図るものである。
各箇所の目標電圧は、事前に系統内の各需要場所が適正電圧となるように
無効電力潮流の分布も含めて検討されたものである。
実際の運用において、系統構成等が変化して検討結果と異なる場合には、
適切な制御が困難になるなどの適応上の問題が生じることがある。
b.中央制御方式
この方式は、発電機無効出力、調相設備の投入状況、変圧器タップ位置などの
系統状態をオンラインで1~2分の周期で集約し、これらの情報を
コンピュータで演算処理を行う。
この処理結果に基づいて、系統内の電圧が許容範囲内になるように、
また、送電損失が最小となるように、操作機器の必要操作量を計算し、
該当機器を自動操作することにより、各所の系統電圧及び
無効電力潮流を制御する物である。
以上。
問7の方は実務に直結しやすい問題です。(自分も、ですが)
なので、わかりやすいでしょうし、知っておく必要がある文章でしょう。
(多分、かつて受験した時はさっぱり、
だったんだろうけど、今見るとさすがに全問正解…。)
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