水曜日, 7月 18, 2007

法規、系統連系と技術基準の解釈の補足。

ここの補足、です。

系統連系と技術基準の解釈。

【系統連系】
問1
【解説】
「電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン」からの出題である。
一昨年の10月に系統連系に関する技術要件が定められ、同時期に技術基準の解釈にもほぼ同様の内容が追加されている。追加分の、目次が以下。

【電力品質確保に係る系統連系技術要件ガイドライン】

【第1章 総則】
1.ガイドラインの必要性 2.適用の範囲
3.用語の整理 4.連系の区分 5.協議

【第2章 連系に必要な技術要件】
【第1節 共通事項】
1.電気方式
【第2節 低圧配電線との連系】
1.力率 2.電圧変動 3.不要解列の防止
【第3節 高圧配電線との連系】
1.力率 2.自動負荷制限 3.逆潮流の制限
4.電圧変動 5.不要解列の防止 6.連絡体制
【第4節 スポットネットワーク配電線との連系】
1.力率 2.自動負荷制限 3.電圧変動
4.不要解列の防止 5.連絡体制
【第5節 特別高圧電線路との連系】
1.力率
2.単独運転時における適正電圧・周波数の維持
3.自動負荷制限・発電抑制 4.電圧変動
5.不要解列の防止 6.発電機運転制御装置の付加
7.連絡体制
(抜粋)

3.用語の整理
(1)系統の種類
1.低圧配電線
低圧需要家に電力を供給する低圧の配電線をいう。一般には、単相2線式、単相3線式:100V/200V、三相3線式:200V、及び三相4線式:100/200Vの方式がある。

2.高圧配電線
高圧需要家に電力を供給する役割と、配電用変電所から柱上変圧器等を介して低圧需要家に電力を供給するまでの送電をおこなう役割を兼ね備えた高圧の配電線をいう。一般には、三相3線式:6.6kV。また、特定の一需要家への電力供給を目的に施設される専用線もある。

3.スポットネットワーク配電線
2回線以上の22kV又は33kV特別高圧地中電路から需要家がそれぞれの回線ごとに施設した変圧器の二次側母線で常時並行受電する配電線をいう。

4.特別高圧電線路
7kVを超える特別高圧の電線路であって、特別高圧需要家に電量を供給する役割と変電所まで電気を送電する役割とがある。なお、電圧が35kV以下の場合は、配電線扱いもある。また、特定の一需要家への電力供給を目的に施設される専用線もある。

(2)系統の状態等
1.並列
発電設備等を系統に接続すること。なお、本ガイドラインにおいては、発電設備等を系統への接続を交流回路でおこなうものについて記述している。

2.解列
発電設備等を系統から切離すこと。

3.連系
発電設備等が系統へ並列する時点から解列する時点までの状態。

4.逆潮流
発電設備等設置者の構内から系統側へ向かう有効電力の流れ(潮流)。

5.単独運転
発電設備等が連系している系統が、事故等によって系統電源と切離された状態において、連系している発電設備等の運転だけで発電を継続し、線路負荷に電力供給している状態。

6.再閉路
系統の事故等が発生した場合、配電用変電所等において、通常、当該系統を系統電源から切離すが、早期復旧を図るために、一定時間経過後に、自動的に当該系統と系統電源とを接続して再送電を行うことをいう。

(3)装置
1.逆変換装置(インバータ)
電力用半導体素子のスイッチング作用を利用して、直流電力を交流電力に変換する装置。転流の方法によって、転流電圧がインバータの構成要素から与えられる自励式とインバータの外部から与えられる他励式とがある。

2.転送遮断装置
発電所遮断器の遮断信号を専用通信線や電気通信事業者の専用回線で伝送し、発電設備等設置者の連系遮断器を動作させる装置。

3.自動同期検定装置
同期発電機又は逆変換装置を用いた発電設備等の系統への並列に際して、系統側と発電設備等側との周波数、電圧及び位相を自動的に合わせて投入する装置

4.保安通信用電話設備
電気工作物の保安のために発電設備等設置者と系統運用者との間などに施設される通信用電話設備。

5.専用回線電話
通信事業者の電話交換機を介さない電話。

6.スーパービジョン
発電機の運転情報、遮断器の開閉情報、保護継電器の動作情報等の情報を遠方へ伝送・表示する装置

7.テレメータ
電圧、電流、電力などの計測値を遠方へ伝送・表示する装置。

(4)機能・方式
1.進相無効電力制御機能
逆変換装置を用いる場合、自動的に発電設備等の電圧を調整する対策の一つとして用いられる機能。発電装置から系統に向かって、電圧より電流の位相が進んだ向こう電力(進相無効電力)を制御することにより、自動的に電圧を設定値に調整する機能。

2.出力制御機能
逆変換装置を用いる場合、自動的に発電設備等の電圧を調整する対策の一つとして用いられる機能。逆潮流がある場合には、発電装置の出力を制限することにより電圧を調整する機能となる。逆潮流がない場合には、受電電力を常時監視し、発電装置の出力を自動的に設定値に制御する機能。

3.スポットネットワーク受電方式
一般電気事業者の変電所から、スポットネットワーク配電線(通常3回線の22kV又は33kV配電線)で受電し、各回線に設置された受電変圧器(ネットワーク変圧器をいう)を介して二次側をネットワーク母線で並列接続した受電方式をいう。
電気方式には、一次側は22kV(又は33kV)三相3線式、二次側200~400V級三相4線式(低圧スポットネットワーク方式)と二次側6.6kV三相3線式(高圧スポットネットワーク方式)とがある。

(5)その他
1.発電設備等の一設置者あたりの電力容量
受電電力の容量又は系統連系にかかわる発電設備等の出力容量のうちいずれか大きいほう。なお、「受電電力の容量」とは、契約電力であり、契約電力は常時の契約電力と予備の契約電力(自家発補給電力等)の合計をいう。また、「発電設備等の出力容量」とは、交流発電設備を用いる場合にはまずその定格出力を指し、直流発電設備等で逆変換装置を用いる場合には、その逆変換装置の定格出力をいう。

2.再閉路時間
系統の事故等が発生した場合であって、事故復旧の迅速化のために、系統運用者側が遮断器を開放した時点から当該遮断器を自動投入(再閉路)するまでの時間。

3.発電抑制
連系された系統の事故等(例えば、2回線の系統で1回線事故時)に、健全な系統の過負荷を回避するため、系統側に必要に応じて過負荷検出装置を設置して、発電設備等の出力を抑制させること。

【技術基準の解釈】
問1 橋に施設する電線路
【解説】
技術基準の解釈第148条からの出題である。橋に施設する電線路に関する内容であり、あまりなじみがない内容と思う。解釈にはさまざまな内容があることを確認してほしい。

【第148条(橋に施設する電線路)】
橋(次条に規定するものを除く、以下この条において同じ)に施設する低圧電線路は、次の各号により施設すること。

一 橋の上面に施設するものは、次のいずれかによるほか、電線路の高さを橋の路面上5m以上として施設すること。

イ 電線に引張強さ2.3kN以上の絶縁電線又は直径2.6mm以上の硬銅線の絶縁電線を使用し、かつ、これを造営材に堅ろうに取り付けた腕金類に絶縁性、難燃性及び耐水性のあるがいしを用いて支持すること。この場合において、電線と造営材との離隔距離は、30cm以上とすること。

ロ トラス橋等の造営材に架空ケーブルで取り付け施設する電線路は、第65条(第1項第四号除く)の規定に準じて施設すること。この場合において、電線と造営材との離隔距離は、15cm以上とすること。

ハ 二層橋等の上段の造営材下面に直接施設する電線路は、第189条の規定に準ずる他、第177条の規定に準ずる合成樹脂管工事、第180条の規定に準ずる可とう電線管工事又は第187条(第3項を除く)の規定に準ずるケーブル工事により施設すること。

二 橋の側面に施設するものは、前号(ハを除く)又は第91条第2項から第5項までの規定に準じて施設すること。

三 橋の下面に施設するものは、第一号ハの規定に準じて施設すること。

2 橋に施設する高圧電線路は、次の各号によりしせつすること。

一 橋の上面に施設するものは、次のいずれかによるほか、電線路の高さを橋の路面上5m以上として施設すること。

イ トラス橋等の造営材に架空ケーブルで取り付け施設する電線路は、第65条の規定に準じて施設すること。この場合において、電線と造営材との離隔距離は、30cm以上とすること。

ロ 二層橋等の上段の造営材下面に直接施設する電線路は、第91条第2項から第5項までの規定に準じて施設すること。

ハ 鉄道又は軌道の専用の橋において、電線に引張強さ5.26kN以上のもの又は直径4mm以上の硬銅線を使用し、かつ、これを第67条第1項の規定に準じて施設するほか、これを造営材に堅ろうに取り付けた腕金類に絶縁性、難燃性及び耐水性のあるがいしを用いて支持すること。この場合において、電線と造営材との離隔距離は、60cm以上とすること。

二 橋の側面に施設するものは、前号(ロを除く)又は第92条第2項から第5項までの規定に準じて施設すること。

三 橋の下面に施設するものは、第一号ロの規定に準じて施設すること。

3 橋に施設する特別高圧電線路は、次の各号により施設すること。

イ 二層橋等の上段の造営材下面に直接施設する伝染路は、第92条第2項(第二号から第四号までを除く)から第5項までの規定に準じて施設すること。

ロ ケーブルは、堅ろうな管又はトラフに収めて施設すること。

二 橋の側面又は下面に施設するものは、第92条第2項から第5項までの規定に準じて施設すること。この場合において、第92条第2項第四号中「第65条(第3項第4項及び第5項)を除く」とあるのは、「第103条」と読み替えるものとする。(なんじゃそりゃ!)

問2 電力保安通信設備
【解説】
技術基準の解釈第153条からの出題である。
電力系統を構成している、発変電所、開閉所等には電力設備を安全、経済的に運用するため、系統構成をつかさどる給電所間に専用の通信設備を必要としている。解釈第153条には、各種設備に関して、降水量観測所、気象台、消防署などとの間に緊急連絡の必要を定めている。

【第153条(電力保安通信用設備の施設)】
次の各号に掲げる箇所には、電力保安通信用電話設備を施設すること。

一 遠隔監視制御されない発電所、遠隔監視制御されない変電所(これに準ずる場所であって、特別高圧の電気を変成するためのものを含む)、発電制御所、変電制御所及び開閉所並びに電線路の技術員駐在所とこれらの運用を行う給電所との間。ただし、次のいずれかかに適合するものにあっては、この限りでない。

イ 遠隔監視制御されない発電所であって、電気の供給に支障を及ぼさず、かつ、給電所との間で保安上緊急連絡の必要がないもの。

ロ 使用電圧が35000V以下の遠隔監視制御されない変電所に準ずる場所であって、機器をその操作等により電気の供給に支障を生じないように施設した場合において電力保安通信用電話設備に代わる電話設備を有しているもの。

二 2以上の給電所のそれぞれとこれらの総合運用を行う給電所との間

三 前号の総合運用を行う給電所であって、互いに連系が異なる電力系統に属するもの相互の間。

四 水力設備中の必要なk所並びに水力設備の保安のために必要な量水所及び降水量観測所と水力発電所との間。

五 同一水系に属し、保安上緊急連絡の必要がある発電所、変電所(これに準ずる場所であって、特別高圧の電気を変成するためのものを含む)、発電制御所、変電制御所及び開閉所相互の間

六 同一電力系統に属し、かつ、保安上緊急連絡の必要がある発電所、変電所(これに準ずる場所であって、特別高圧の電気を変成するためのものを含む)、発電制御所、変電制御所及び開閉所相互の間。

七 発電所、変電所、発電制御所、変電制御所及び買いひぇ遺書とこれらの技術員駐在所との間。ただし、次のいずれかに適合し、かつ、携帯用又は移動用の電力保安通信用電話設備により連絡が確保できるときは、この限りでない。

イ 発電所であって、電気の供給に支障を及ぼさないもの。

ロ 第52条第1項第一号に規定する変電所(使用電圧が35000V以下のものに限る)であって、当該変電所に接続される電線路が同一の技術員駐在所により運用されるもの。

ハ 発電所、変電所(これに準ずる場所であって、特別高圧の電気を変成するためのものを含む)、発電制御所、変電制御所、開閉所及び技術員駐在所と電気設備の保安上緊急連絡の必要がある気象台、測候所、消防署及び放射線監視計測施設等との間。
(中略)
2 特別高圧架空電線路及びこう長5km以上の高圧架空電線路には、架空電線路の適当な箇所で通話できるように形態又は移動用の電力保安通信用電話設備を施設すること。

以上、です。