木曜日, 10月 25, 2007

二種二次試験電力管理、H12問3,4、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。


問3
【解説】
一般に3心ケーブルの静電容量は第1図のようになり、図1の場合のCは第2図を意味する。また、図2の場合のCは、同様に第3図となる。C、Cの式より、CおよびCはそれぞれ次式で表される。

=C/3(μF)

=(C-C)/2
 =(3C-C)/6(μF)

いま、三相平衡電圧を加えた場合の1心あたりの静電容量(作用容量)Cは、次式で表される。

C=C+3C
 =(9C-C)/6(μF)

ここで作用静電容量とは、解答の図のΔ結線の相互容量CをYに換算して3Cとし、これと対地静電容量Cを加えたもの(第4図参照)であり、平衡三相電圧を加えた場合の1心あたりの静電容量を示すものである。

次にX(Ω)の容量リアクタンスにV(V)の正弦波電圧を加えたとき、容量リアクタンスに流れる電流の大きさ(実効値)は、次式のように表される。

I=V/X(A)

ここで、X=1/(ωC) (ただし、ω=2πf)で、これが充電電流である。

三相電圧を加えたときのケーブルの充電電流をIとすれば、

=(V/√3)/(1/ωC)
 =V/√3・ωC=2πfCV/√3

となり、このCに解答のC=(9C-C)/6を代入すればよい。

問4
【masha解説】
別解をば。自分的には、こちらのやり方のほうがわかりやすい気がしてますが…(手書もこのやり方)。三相平衡、ですので、三相の基準を求め、そこから相回転で各電流を求める、と。
また、各電流の表現として、極力|I|∠tan^-1(I/I)で表現した。
(I:電流虚数成分、I:電流実部成分、|I|:電流の大きさ)
ここで、
A×B=|A|∠θ×|B|∠φ~|A|・|B|∠(θ+φ)
A/B=|A|∠θ/|B|∠φ~|A|/|B|∠(θ-φ)
(A、Bはベクトルで、a+ja、b+jbとする)
θ=tan^-1(a/a)、φ=tan^-1(b/b
|A|=√(a^2+a^2)、|B|=√(b^2+b^2)
である。
これは、
A×B=a-a+j(a+a
の大きさ、位相を求めても同じとなる。よって、ベクトルの乗算・除算が簡単な乗除算と加減算で計算できることを示しており、この問題のように色んな電流を相互に求めるとき(位相が一致してなかったり)には、こちらの方が簡単かと思われます。

(1)まず、Iamの大きさは、メインで求めているように、100Aである。ここで、力率が√3/2の遅れ、つまり、電源と電流の位相角は-30°ということがわかる。よって、Eaを基準として時のIam,Ibm,Icmは、それぞれ、
am=100∠(0-30)°=100∠-30°
bm=100∠(-120-30)°=100∠-150°
am=100∠(120-30)°=100∠90°
これを極座標表示に変換しておくと、
am=100∠-30°=100(√3/2-j1/2)
bm=100∠-150°=100(-√3/2-j1/2)
am=100∠90°=100(j1)

(2)力率を1とするということは、a相で考えると、Iamの無効電流を0とすればよい。
つまり、Iac=-(100×-j1/2)=j50
とすればよい。よって、Iac=50∠90°
ここから、Ibc,Iccを相順に従って求めると、
bc=50∠(90-120)°=50∠-30°
cc=50∠(90+120)°=50∠-150°

ここで、
ac=Ixy-Izx
である。また、Ixy,Iyz,Izxの関係は、Ixyを基準とすると、
xy=|Ixy|∠0°=|Ixy|(1+j0)
zx=|Ixy|∠120°=|Ixy|(-1/2+j√3/2)
であるので、
ac=Ixy-Izx=|Ixy|・(3/2-j√3/2)
 =√3|Ixy|∠150°
(∵√(3^2+√3^2)/2=√3、
 tan^-1(√3/-3)=150°
また、上記よりIac=50∠90°より、
xy=-Iac/(√3∠150°)
  =50/√3∠(-90°-150°)
  =50/√3∠120°

三相対称、より
yz=50/√3∠(120-120)°
  =50/√3∠0°
zx=50/√3∠(120+120)°
  =50/√3∠-120°

後は、これらを用いてベクトル図を描けば良い。
(大きさと角度で表現しておけば、ベクトル図もイメージが湧きやすいはずです)

以上です。