日曜日, 10月 28, 2007

二種二次試験機械制御、H12問3,4、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。


問3
【解説】
昇降圧チョッパの出力電圧は、0(V)から入力電圧よりも高い電圧を得る事ができるDC/DCコンバータである。スイッチがONしているとき、入力側の電流はダイオードDがあるためリアクトルLにしか流れる事が出来ない。また出力側の電流はリアクトルに蓄えられたエネルギーを放出することで得ている。つまり入力側と出力側のエネルギーの受渡しは、リアクトルを経由して行っている。このため出力側の電圧が入力側の電圧に影響を受けないという特徴がある。また、負極性の電源が必要な場合、一般的には絶縁変圧器を用いて、一次側と二次側の極性が反転するような回路を構成するが、昇降圧チョッパを用いれば絶縁変圧器を必要とせず負電源を得る事ができる。

【mashaのつぶやき】
パッと見、ダイオードがあるのに負荷側に電流流れるのか?と思っちゃいますが…。(または、言い方として、スイッチSが開放の時に電流、流れるのか?と)

インダクタ、コイルの特性を考えるとそうなりますね。コイルの特性は、
「直流に対してインピーダンス0」
「電流の『変化を妨げる方向に』作用する」
「変化を妨げる方向=逆向きに起電力を発生する」
ここから、どういうことが起こるか、というと。
Sを閉じ、時間が十分たった後、コイルには定電流が流れます。その後、Sを開くと電流は減ろうとしますから、回路として成立してる側、負荷側から電流が流れ込む向きに電流が発生します。つまり、ダイオードの正方向。解答ではそこまで触れてないですが、これのための電圧源としてコンデンサ(容量は十分大きい)があるのかな?とも思われます。

このあたりは、多分過渡現象として解けばはっきりするとは思いますが、そこまではやりませんw

それと、インダクタやコンデンサの容量が十分大きい、には、過渡現象の時定数が十分大きい、と言う事を指し、そのために電流波形が三角波状になっている、と思われます。これは、蛇足かな?

問4
【解説】
二次遅れ要素の標準形式は、減衰係数をζ、固有角周波数をωとすれば、

W(s)=ω^2/(s^2+2ζωs+ω^2)

で表される。減衰係数ζは制御系の応答における減衰特性に関係する変数で、ζが小さすぎると安定度が悪くなり、大きすぎると安定度はようなるが、応答の立ち上がりがゆっくりになり、速応性が悪くなる。固有角周波数ωは応答の速さに関係する変数で、減衰特性とは無関係である。

フィードバック制御系において目標値R(s)と制御量C(s)との偏差E(s)は、一巡伝達関数をH(s)とすれば、

E(s)=1/{1+H(s)}・R(s)

で求められる。定常速度偏差εsは、

E(s)=R(s)−C(s)

にR(s)=1/s^2を代入することで求められ、偏差の定常値(定常偏差)は、E(s)の式にラプラスの最終値の定理を適用して、

lim s・E(s)
 =lim s・1/{1+H(s)}・R(s)
 =1/{lim s・H(s)}=1/Kv
(※limの範囲はs→0)

として求められる。この式で、Kvは速度偏差定数と呼ばれる。

そのほか、単位ステップ入力に対する偏差のことを定常位置偏差といい、R(s)=1/sを代入することで求められる。この定常位置偏差はオフセットとも呼ばれる。またR(s)=1/s^3を代入することで求められる偏差を定常加速度偏差という。

【mashaのつぶやき】
(3)ですが…。
E(s)=R(s)−C(s)であり、C(s)は(2)で求めたW(s)を用いると、C(s)=W(s)R(s)。
つまり、E(s)=R(s){1−W(s)}であり閉ループ伝達関数W(s)は、

(s)=1−W(s)

となる。これに各式を代入すると、

(s)=1−K/{s^2+(1+K)s+K
 ={s^2+(1+K)s+K−K}/{s^2+(1+K)s+K
 ={s^2+(1+K)s}/{s^2+(1+K)s+K
 =(s^2+10s)/(s^2+10s+100)
となる。
これを変形すると、

(s)=1/{1+100/(s^2+10s)}

となる。

また、このWに、ラプラスの最終値定理のs倍、及びランプ関数R(s)=1/s^2を乗算すると、結局は1/sを乗ずる事と同義であり、

(s)・1/s
 =(s+10)/(s^2+10s+100)
 であり、s→0とすると、
=10/100=0.1
を得られる、と。

こっちの方が簡単な気がするんだけど、なぁ…。