火曜日, 10月 23, 2007

二種二次試験機械制御、H13問3,4、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。


問3
【解説】
(1)整流制御方式
交流入力をサイリスタなどのスイッチング素子(バルブデバイス)を制御することによって定電圧を得る制御方式である。スイッチング素

子の使用数は最も少なく経済的に優れており、一般的に広く採用されている。しかし、入力の力率が悪く、入力電流の高調波成分が多い。

(2)直流電圧制御方式
ダイオード整流回路(ダイオードブリッジ)でいったん直流に変換した後、直流チョッパやトランジスタを用いた定電圧回路を用いた定電

圧回路を用いて直流電圧の制御を行う方式である。交流をダイオードで直流に変換しているため、整流制御方式に比べて入力の力率がよく

、入力電流の高調波成分が少ない特徴がある。

また、直流チョッパのスイッチング周波数を高く取ることによって、出力フィルタを小さくできる利点がある。

(3)交流電圧制御方式
半導体交流スイッチによって交流を制御した後、変圧器で変圧してダイオード整流回路(ダイオードブリッジ)で直流に変換する方式であ

る。

変圧器で降圧する場合は、直流側の電圧が低く、大電流を必要とする工業電解用の電源として用いられる。逆に変圧器で昇圧する場合は、

直流側の電圧が高く、電流をあまり必要としない電気集塵装置などの電源として用いられる。

(4)高周波中間リンク電圧制御方式
交流をダイオード整流回路で直流に変換しているため入力の力率がよく、入力電流の高調波成分も少ない。

変換された直流をPWMインバータで交流に変換するが、スイッチング周波数を高く取ることによって、次段の変圧器の小型化が図れるほ

か、出力フィルタを小型化することができる。また、スイッチング周波数を高くすることで制御応答性能も向上する。

この方式は小型の機器組込み用電源から100(kW)程度の電源装置まで幅広く用いられてきている。

問4
【解説】

微分方程式をラプラス変換する場合、初期条件を考慮する必要がある。しかしながら、制御工学では特段の指定がない限りt=0のときの

初期値=0としてラプラス変換すればよい。

したがって、この問題では第1表に示すラプラス変換をすればよい。そして、電圧関数G(s)はラプラス変換した式から(出力/入力)

を求めればよい。

ステップ関数は第2図に示すようにt<0のとき出力=0で、t≧0のときの出力が1(単位量)となる関数である。このステップ関数(

u(t)をラプラス変換すると、U(s)=1/sである。

ラプラス関数で表された出力応答を時間関数に直すには逆ラプラス変換する。このとき、必要に応じて部分分数展開する必要がある。この

問題の場合は【解答】にあげたように、

1/s^2(s+1/T)=A/s^2+B/s+C/(s+1/T)

といて部分分数(右辺)に変換する。それは、上式が、sがいくらであっても恒等的に成り立つようなA,B,Cを求めることである。し

たがって、sに都合がよい任意の値を入れて、A,B,Cが求まればよい。ここで、A,B,Cを求める方法は種々あるが、【解答】にあ

げた方法が覚えやすいのではないかと思われる。(masha注:手書は違うやりかた)

まずAを求めるには、上式の両辺にAの分母s^2をかける。そして、このsを消去するためにs=0を代入する。右辺の第2項と第3項は

s^2をかけて、s=0を代入すると分子=0となって消去される。よって、

A=s^2/s^2(s+1/T)|s=0
 =1/(1/T)=T

を得ることができる。

Bを求める場合も両辺にBの分母sをかける。そして、このsを消去するためにs=0を代入する。ただし、この場合は右辺の第1項のA

/sが残るのでこれを左辺に移項するとともに、上で求めたA=Tを代入する。するとBを求めることができる。

B={s/s^2(s+1/T)-As/s^2}|s=0
 ={1/s(s+1/T)-A/s}|s=0
 ={1-T(s+1/T)}/s(s+1/T)|s=0
 =-T/(s+1/T)|s=0=-T^2

CはAを求めた方法と同様に求めることができる。

C=(s+1/T)/s^2(s+1/T)|s=-1/T
 =1/(-1/T)^2=T^2

あとは部分分数ごとに第2表に示すように逆ラプラス変換すればよい。

次に、この制御系の周波数伝達関数G(jω)は、

G(jω)=K/jω(jωT+1)

である。ここでωT=uとおくと、

|G(jω)|=KT/u√(1+u^2)

φ=-90°-tan^-1(u)°

となる。したがって、
1.ω=0のとき、すなわちu=0のとき
|G(jω)|=∞
φ=-90°

2.ω=1/Tのとき、すなわちu=1のとき
|G(jω)|=KT/√2
φ=-90-45=-135°

3.ω=∞のとき、すなわちu=∞のとき
|G(jω)|=0
φ=-90-90=-180°

が得られる。これらの値を参照して直角座標にプロットしてもよい。

以上です。