日曜日, 10月 21, 2007

二種二次試験電力管理、H13問5,6、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。


問5
【解説】
特別高圧自家用受電方式には、引込回線数、電力会社の供給送電方式などにより、第1図に示す種類の基本的な方式がある。

(1)1回線受電は他需要家や送電線の事故、計画停電などで長期間停電となる可能性があるため、計画停電が可能な需要家や自家発電設備を持つ需要家に採用され、電源の信頼性を要求される場合は望ましくない。

(2)本線予備線、平行2回線、ループ受電方式は計画停電の調整が困難で、電源の信頼性が最重要とされる需要家に適しているが、本線予備線は短時間の停電が許容される場合に選択される。

(3)ループ受電方式は、工場地帯、コンビナートなど負荷密集地域で採用され、両方向の給電となるため、融通性、信頼性に優れているが、需要家の遮断容量、電源容量が必要以上に要求される。また、保護方式についても電力会社側との密接な協調が必要となる。

(4)平行2回線受電方式は信頼性は高いが、送電距離が短い場合、保護が難しく実例は少ない。また、保護継電方式が複雑で、遮断器とともに高い信頼性を必要とする。

(5)スポットネットワーク受電方式は同一容量及び仕様の変圧器を常時2台以上並列運転しているため、送電線の事故及び作業停止、あるいは変圧器の事故があっても、他の健全系統により受電する事が可能であり、非常に信頼性の高い方式といえる。また、経済性を高めるために受電要遮断器を省略し、変圧器二次側に設けたプロテクタ遮断器及びプロテクタ継電器により、電源側への電力の逆流時のみ遮断動作を行う。供給変電所からプロテクタ遮断器までの短絡・地絡保護は、送り出し遮断器とプロテクタ遮断器で自働的に選択遮断される。このため、都心部の電力需要増大と高信頼性要求に応じて、今日では積極的に採用されている。

第1表に各受電方式の系統構成と特徴を示す。

問6
【解説】
(1)22[kV](33[kV])配電の適用
昭和30年代後半から40年代初頭にかけて、都市化の進展により人口や産業の集中化が進み、電力のサービスや品質に対する要請は、質・量両面にわたり急速に高度化している状況にあった。

このため、従来からの6[kV]による配電方式では設備が複雑かつ肥大化するだけでなく、安定供給の確保すら困難化することが懸念された。

「過密化対策委員会報告」(昭和46年、通産省公益事業局)において、流通設備全般の近代化構想が策定され、超過密地区に対しては将来の配電電圧は22[kV](33[kV])/415[V]レギュラーネットワーク(以下RNW)の適用(~50[kW])と小規模ビル(50~500[kW])への400[V]供給、中規模ビル(500[kW])異常への22[kV](33[kV])SNW供給を指向する方針が示され、東京電力においては、昭和43年8月に22[kV]RNWの運転開始、昭和44年2月にはSNWによる22[kV]直接供給を相次いで実施し、これを足がかりとして都市地区における22[kV]kV配電方式の本格導入が開始された。

(2)400[V]直接供給に向けた取り組み
400[V]直接供給の必要性、有効性については、資源エネルギー庁・電力会社などで繰り返し検討が行われた。

近年では、「配電長期展望検討会」(平成4年、資源エネルギー庁公益事業部技術課)においても、都市部過密地域では22[kV](33[kV])/400[V]配電ネットワークを構築するとともに、既設過密地区においても、業務用、オフィスビルなどの比較的受電量の大きな需要家から、順次400[V]供給に切替えていく事が望ましいとの結論を得ている。

これは、50~200[kW]の中規模ビルなどに対しては、供給力の高い22[kV]
(33[kV])系統を活用した400[V]供給を行い、6[kV]系統の拡充を抑制していくことが将来の供給力確保策として有効な施策である。という考え方に基づくものである。

また、需要家側から見ても、中規模以上のビルなどにおいては400[V]機器の普及もかなり進んでおり400[V]で受電することにより、

1.使用電圧で受電することにより変圧器や開閉器などが省略でき、受電設備コストが軽減できる。
2.国際規格に整合するので海外製品の導入も容易である。
3.ビル内の負荷機器には230/400[V]に適する機器が多い(空調、エレベータなど)ため、400[V]配線により効率的使用が図れる。
4.低圧の電気設備だけとなるため、一般用電気工作物となり、主任技術者の設置不要となるなど、保守コストの軽減が図れる。

などの多くのメリットが考えられる。

ただし、現在では以下の欠点もある。

1.230/100[V]変圧器が必要である。
使用電圧100[V]の小形機器に供給するには230/100[V]変圧器が必要である。このような機器の多い場合には230/100[V]変圧器の費用が大きくなる。

2.C種接地工事が必要である。
使用電圧400[V]の機器のケースなどの接地は、C種接地工事が必要である。

3.遮断器の定格が増加する
遮断器の定格電圧、定格遮断電流が大きいものを必要とする。

(3)400[V]配電の概要と特徴
400[V]配電は、第1図に示すように、受電用変圧器の二次側をY(スター)に結線し、中性点を直接接地した三相4線式で、電灯・動力設備が共用でき、電圧の格上げにより供給力が増加し、電圧降下、電力損失が減少、所要電線量が少なくてすみ、22~33[kV]受電の場合、6.6[kV]または3.3[kV]の中間電圧を省略できるなどの特徴があり、100[V]負荷が少なく、電動機負荷の多い規模の大きいビル、工場では、従来の100、200[V]配電に比して極めて有利で、しだいに増加しつつある。

中性点は直接接地(0Ωに近い値で接地)しているので、地絡事故は過電流遮断器(配線用遮断器など)で回路の保護はできるが、感電事故及び漏電火災事故防止のための地絡保護も必要である。感電事故に対しては30[mA]程度で回路を遮断する事が望ましい。

以上です。