水曜日, 10月 17, 2007

二種二次試験機械制御、H14問1,2、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。


問1
【解説】
誘導電動機のL形等価回路を第1図(添付)に示す。この等価回路において、二次電流(一次換算値)I’(A)は、

’=(V/√3)/√{(r+r’/s)^2+(x+x’)^2}

となる。したがって、3相分の二次入力Pは、上式より、

=3I’^2・r’/s
 =V^2/{(r+r’/s)^2+(x+x’)^2}・r’/s

となる。電動機の回転角速度をω、同期角速度をω、電動機の出力をPとすれば、トルクTは、

T=P/ω=(1-s)P/(1-2)ω
 =1/ω・V^2/{(r+r’/s)^2+(x+x’)^2}・r’/s
 =(v1^2r'/ω
    ×1/{s(r+r’/s)^2+s(x+x’)^2}

となる。この式の第2項の分母が最小になればトルクが最大になる。分母を最大にする滑りsを求めるため、分母をsで微分して0とおく。

d/ds{s(r+r’/s)^2+s(x+x’)^2)=0
^2-(r’/2)^2+(x+x’)^2=0
∴s^2=r’^2/{r^2+(x+x’)^2}

電動機領域のすべりは1≧s≧0であるから、トルクが最大となる滑りsmは、

sm=r’/√{r^2+(x+x’)^2}

となる。この式で求めた滑りsmをトルクTの式に代入すると、最大トルクTを与える式が得られる。

=(V^2/2ω
     ×1/{r+√(r^2+(x+x’)^2}

また、二次抵抗損Pc2は、

c2=3I’^2・r
 =V^2/{(r+r’/s)^2+(x+x’)^2}・r
 =sP

これらのことに基づいて出題された項目について順に確かめていく。

項目(1):最大トルクTの式から電源電圧が一定であれば、最大トルクは二次抵抗および滑りに関係なく一定である。また、最大トルクを生じる滑りは、smの式から二次抵抗に比例して大きくなる。よって、項目(1)は正しい。

項目(2):出題文中に、「一般にトルクは」との記述があるので、定常運転状態の出題であると解せば、滑りsが小さい範囲となる。この場合は、r’/s≫r、x、xであるので、トルクTの式は、

T≒V^2/ω2r’・s

となる。この式からトルクTは一次電圧Vの2乗に比例し、滑りsに比例するとともに二次抵抗r’(滑りsが小さい場合のインピーダンスに相当)に反比例することがわかる。もし、出題文中の「二次巻線の抵抗」
というのをr’/sであるものと解せば、Tの式が示すように二次巻線の抵抗に比例し、インピーダンスの2乗に反比例する式で表されることになるが、一般的にr’/sを二次巻線の抵抗とは言わない。しかしながら、この場合であってもトルクは電源電圧の2乗に比例することには変わりなく、よって項目(2)は誤りとなる。

項目(3):二次出力Pは、二次入力Pから二次銅損Pc2を引いたものであり、上記P,Pc2の式から、(1-s)Pとなる。したがって、P:Pc2:P=1:s:(1-s)となる。よって、項目(3)は正しい。

項目(4):同期角速度ωは、電源周波数をf、電源周波数がfのときのリアクタンスを(x+x’)=ωL=2πfLとし、また極数をpとすれば、ω=4πf/pである。これを最大トルクTの式に代入すると次式のようになる。

=pV^2/(2×4πf)
   ×1/{r+√(r^2+(2πfL)^2}

ここで、r≪2πfLであるから、最大トルクTを表す式は、

≒K・V^2/f^2

ただし、K:const

こ の式から最大トルクは、電源周波数の2乗に反比例し、電源電圧の2乗に比例する。したがって、定格周波数60(Hz)の電動機を周波数50(Hz)の電源 で運転するとき、最大トルクをほぼ同じ値に保つためには、端子電圧を50/60倍する必要がある。よって、項目(4)は誤りである。

項目(5):第1図に示す等価回路の励磁回路に流れる電流(励磁電流)によってギャップ磁束Φが作られる。この電流は、電源電圧に比例し、電源の周波数に反比例する。つまり、電源電圧をV、電源周波数をfとすれば、Φ∝V/fの関係となる。したがって、淵源電圧が一定であるとすれば、周波数が低下するとギャップ磁束は反比例して増加する。よって、項目(5)は誤りである。


問2
【解説】
変圧器の損失は、負荷電流の影響を受けない無負荷損(鉄損)と負荷電流の2乗に比例する負荷損(銅損)とがある。したがって、定格負荷時の負荷損がPであるとき、変圧器の定格容量をP、負荷電力をPとして、α=P/Pとすれば、負荷電量Pのときの銅損P’は、P’=α^2Pとなる。

変圧器の全損失をP、熱容量をC、熱抵抗をRとすれば、変圧器の熱的な等価回路は第1図(添付)に示すようになる。

この図において、熱容量Cに流れる熱流Pは、変圧器に蓄えれられる熱流であり、変圧器の温度上昇に寄与する。一方、放熱抵抗Rに流れる熱流Pは、変圧器から外部へ放散される熱流である。ここに温度差をθとし、これらを式で表すと次のような微分方程式が得られる。

=P+P
θ=1/C・∫Pdt=RP

いま、t=0で、∫Pdt=0とおいて、この微分方程式を解けば、

=Pε^(-t/CR)
=P{1-ε^(-t/CR)}

となるので、

θ=RP{1-ε^(-t/CR)}

が得られる。これらの関係を図示すると第2図(添付)に示すようになる。この図に示すようにPは、変圧器に吸収される熱流であって、温度上昇が大きくなるに従って減少する。一方、外部に放散される熱流Pは、温度上昇が大きくなるほど大きくなっている。このため、温度上昇を十分に大きくなると、加えた熱流の全てが外部へ放散されることになる。この結果、温度が一定値に落ち着く。すなわち、このときの温度が最終温度上昇値となる。

最終温度上昇値θは、θの式にてt=∞とすればよく、

θ=RP

となる。この式が示すように最終温度上昇値は、放熱抵抗Rが一定であれば、変圧器の全損失Pに比例する。

第3図(添付)に示すように変圧器を並行運転する場合、その分担電力は変圧器のインピーダンスの逆比に比例して配分される。

この問題では、それぞれの変圧器の短絡インピーダンスが、それぞれの変圧器の定格容量を基準値として与えられているので、いずれか一方の変圧器の基準容量に換算する必要がある。たとえば、変圧器Aの定格容量がPnA、変圧器Bの定格容量がPnBで短絡インピーダンスが%Z(PnB基準)の場合、変圧器Bの短絡インピーダンスを変圧器Aの基準容量の短絡インピーダンス%Z’に換算するには、

%B’=PnA/PnB・%Z

とすればよい。第3図の場合、それぞれの変圧器の分担電力は、

=%Z’/(%Z+%Z’)・P
=%Z/(%Z+%Z’)・P

となる。

【masha補足…】
こ の逆比のところ。電力→電圧一定なので、電流比と考えると…、結局二つの変圧器が並列になっている、と考えればいいのかな。並列なので、電圧は等しく、電 流はインピーダンスの逆比になる。よって、電力は、短絡インピーダンスの逆比で分担される、と考えると覚えやすいような気がします。

以上です。