日曜日, 10月 14, 2007

二種二次試験電力管理、H14問3,4、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。

問3
【解説】
ケーブルの静電容量の大きさは送電容量に影響する。特に電圧が高くなるにつれて影響が大きくなり、有効送電用量の確保が難しくなる。これは充電電流が大きくなるためで、ケーブルの充電電流Iは次式で与えられる。

=2πfC・(V/√3)・l (A)

ここで、f:周波数(Hz)、V:線間電圧(V)、l:線路長(km)とする。

すなわち、充電電流は静電容量と線間電圧およびケーブル長さの積に比例して増加するため、275~500(kV)級の長距離線路では、これらを減少させる対策が必要である。

この対策としては、1.線路にリアクトルを挿入する方法 が一般的であるが、2.絶縁物に低誘電率材料を使用する方法 もとられている。充電電流による有効送電容量への影響の程度を第2図に示す。

いま、ケーブルの許容送電容量をPとし、充電容量をPとすれば、有効送電容量Pとの間には解等に示した式のように、

=√(P^2-P^2)

という関係がある。

したがって、高圧送電線路では、有効送電容量が零となる限界距離が比較的短いところに存在する。第2図の275(kV)OFAZV1×800(mm^2)のケーブルの例では、38(km)程度で有効送電容量が零となることが示されている。この例からもわかるとおり、ケーブルの高電圧化に伴い経済的な静電容量対策が重要な問題となってくるのである。

ケーブルの1(m)当たりの静電容量Cは第3図に示すように、ケーブルの導体に単位長あたり+Q(C/m)、シースに単位長さあたり-Q(C/m)の電荷を与えたとき、中心からx(m)の点の電界の強さをEとすると、

=Q/(2πεεx) (V/m)

で表され、このときの導体とシース間の電位差V(V)は、

V=∫Edx=Q/(2πεε)∫(1/x)dx
 =Q/(2πεε)log(R/r) (V)

となるから、Q=CVより、

C=Q/V=2πεε/{log(R/r)}

と表される。

ここで、εは真空中の誘電率、εは絶縁体の比誘電率である。

すなわち、ケーブルの構造の幾何的寸法が同一であるとすると、ケーブルの静電容量は絶縁体の比誘電率εにより決まる。

近年、特別高圧地中電線路に使用するケーブルにはOFケーブルとCVケーブルが主として使用され、両者の絶縁体(絶縁紙と架橋ポリエチレン)を比較すると、OFケーブルのε=3.0~3.4程度に対して、CVケーブルはε=2.3以下と有効送電容量面などCVケーブルが優れている。

この点を克服するため、OFケーブルの絶縁体には、クラフト紙の機械強度と高分子材料の電気的特性を生かすため、高分子材料をクラフト紙でサンドウィッチ状に挟み込んだ半合成紙が使用され、ε=2.8程度を実現している。一方、CVケーブルにおいても種々の開発がなされ、ε=2.0以下に臨んでいる。

問4
【解説】
がいし類の表面に塩分が付着し、霧・露・小雨などにあうと、塩分が水に溶解し、この電解液でがいし表面が覆われて漏れ電流が流れる。この漏れ電流により、碍子の表面が、局部的に乾燥し、この部分に電界が集中して間欠的な局部放電が発生する。

したがって、汚損量が多く、適当に湿潤する状態においてはフラッシュオーバに至る。

このような湿潤状態によるがいし汚損時のフラッシュオーバ電圧は、清浄時に比べ極めて低く、清浄時の数分の1、場合によっては1/10以下になる。

よって、このようながいし類の耐電圧値低下による設備事故を防止するためには、立地点の汚損程度を十分把握し適切な塩害対策を講じることが肝要である。

第1図はがいし汚損の様相を示す例である。がいしが塩分を含んだ風にさらされると、逐次汚損が累積される(C部)が、降雨があれば洗い流されて(B部)、長期間のうちにはこれの繰り返しにより汚損度はほぼある値(破線)以下におさまる。これを長期汚損または平常時汚損という。また、台風や季節風により短期間のうち激しく汚損される場合があり(A部)、これを急速汚損と呼んでいる。

送電設備の塩害対策は、設計・計画において懸垂がいしの増結による設備強化が基本であり、その所要連結個数は過去の汚損実績やパイロットがいしによる塩分付着量の測定結果に基づいて、地域別に定められた想定塩分付着密度に対してフラッシュオーバを生じないよう決定される。また、降雨による洗浄効果が優れている長幹がいしや、懸垂がいしのひだを深くして、がいし表面の漏れ距離を長くすることにより汚損耐電圧特性を高めた耐塩がいしの適用により、効果的な汚損設計が測られている。

また、保守面での対応としては、主として台風などの急速汚損時における緊急洗浄や、工場地帯等でじんあい汚損との複合汚損の著しい地域での定期洗浄が挙げられる。これらは絶縁棒の先に取付けた湿潤ブラシによりがいし1個1個を丹念に洗浄する方法が一般的に用いられている。一方、発変電所における汚損区分ごとの塩害対策の一般的な考え方は第1表に示すとおりである。

なお、活線洗浄を実施する場合の塩分付着密度の限界値としては、0.03(mg/cm^2)をとるのが一般的である。これは、一般にがいし類の大きさを技術的・経済的限度内に抑えることができることによるものである。

以上です。