土曜日, 10月 13, 2007

二種二次試験電力管理、H14問1,2、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。


問1
【解説】
同 期発電機が無負荷送電線路を充電する場合は、発電機端子に静電容量C(F)が接続される。界磁が無励磁のままでも自己励磁現象によって、自ら電圧を発生し てCの値によっては定格電圧をはるかに超える危険値にまで確立する。これは、界磁極の残留磁気によるわずかな残留電圧が、進み電流による増磁電機子反作用 のために次第に上昇し、また、漏れリアクタンス降下もベクトル的には電圧上昇として働くためである。

第1図は電機子進み零力率電流に対する端子電圧の関係を示すもので、曲線ONは界磁を無励磁のままとしたときの電圧上昇である。Cの充電電流は、端子電圧(1相)Vに対し

I=jωCV (A)

で あり、端子電圧と比例的に増加するはずであるが、実際の電線路には途中に変圧器を介在してその磁気飽和のため、第1図のOPまたはOQのようになり、Cの 値が大きいほどOPの方向へ移動する。自己励磁によって上昇した電圧が落ち着く確立点は、進み電機子電流特性とCの充電特性との交点Mである。

自 己励磁を防止するには、上述のような電圧確立点となる交点が存在しなければよい。第2図は変圧器の飽和を無視したときのCの充電特性OKと電機子進み電流 特性OSを示す。α>βのようにこの2特性が交わらなければ自己励磁は起こらない。線路のCが一方的に与えられるときは、要はこれと危険値電圧以上に交点 を持たないような進み電流特性の発電機を採用すれば、自己励磁が防止されることになる。

送電線路を充電するには、同期発電機を無励磁で送 電線路に接続した際に自己励磁を起こさないことがもちろん必要であり、さらに励磁を零付近から低い範囲を徐々に安定に調整しながら、電線路に電圧を加えて いく必要がある。そのためには発電機の短絡比の値が大いに関係があり、線路の静電容量が大きい場合は大きな短絡比の発電機が必要となる。

問2
【解説】
現在運転中の事業用タービンは、高圧車室タービンであり、各車室相互の配列の仕方により第2図に示すような、タンデム・コンパウンドタービンとクロス・コンパウンドタービンに分類される。

蒸気タービンは、一般に高圧、中圧、低圧に分割設置されており、それぞれ蒸気を案内する固定された静翼、回転する動翼、動翼を保持するロータから成っている。翼の段数は、1000(MW)機で高圧9~13段、中圧6~7段、低圧10~13段(×4)程度である。

タービンの材料は、高圧・中圧ロータ、静翼、動翼は高温クリープ強度の高いCrMoV鋼、12CrMoV鋼などが用いられている。

低圧タービンでは、効率向上のため最終段動翼が長翼化され、1000(MW)機1500(min^-1)、700(MW)機3000(min^-1)で40インチを超え、チタン翼も開発されている。

な お、コンパウンド形とする理由は、衝動式においては各段間に圧力差はないからすき間は大きくできるが、反動式においては圧力差があるため漏れによる効率低 下は無視できなくなるためである。各タービンとも高圧段ほど温度が高いので、これらの影響は大きいが、低圧段になれば温度が低くなって、このような懸念が 少なくなる。このような見地から高圧段は衝動式に、低圧段は反動式にするコンパウンド形が採用される。

運転に際しては、
1.タービンに送気する主蒸気の温度およびその変化率は、ケーシング・回転子など厚肉材料に過大な熱応力を与えないよう制限値以内で運転する事が重要である。

2.タービン回転上昇中は伸び差、振動、軸受油温、油量などについて注意し、制限値を超えないようにする。特に、振動については危険速度を速やかに通過するよう操作するとともに、監視を十分に行い、異常振動に注意する。

以上です。