金曜日, 11月 09, 2007

二種二次試験電力管理、H9問3,4、補足

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。

問3
【解説】
送電線に1線地絡故障が発生したときに、電磁誘導により通信線に発生する誘導電圧V(V)を表す(1)の式は、次のように求める事ができる。

電磁誘導障害は第1図のように原理的には相互インピーダンスを持つ電気回路で考えられ、閉回路の相互交差磁束によって生ずる。

したがって、図のようにI、φ、eの正方向を決めれば、通信線に生じる単位長あたりの誘導電圧は、

e=dφ/dt

ここで両導体間の相互インダクタンスをM(H/m)とすると、Mi=Nφ→φ=Mi/Nを代入し、

e=dφ/dt=Mdi/dt

これにi=Isinωtを代入して、

e=Md(Isinωt)/dt
 =ωMIcosωt(V)

次にD(m)を乗じ絶対値を求める。

∴V=|jωMID|=2πfMID(V)

が求まる。また、三相送電線を考えると、各相の電線と通信線間の相互インダクタンスの相違を無視して、第2図のようにM≒M≒M≒Mとすると、

=j2πfMD(I+I+I
 =j2πfMD×3I(V)

で表される。ただし、上式のIは零相電流を表す。

したがって、この式より、電磁誘導は送電線の零相電流によって誘起される事がわかる。

本問では零相電流でなく、起誘導電流が与えられており、電磁誘導の基本的な事項を知っているかどうかを問われた問題である。

さらに、電磁誘導によって通信線に誘起される電圧には、次の3種類がある。

(1)異常時誘導電圧
送電線の地絡事故などにより流れる零相電流によって生じる電圧であり、送電線接地方式や事故形態にもよるが、大きな誘導電圧が発生する。実際には、主として送電線の1線地絡事故時によるもので、電磁誘導電圧の制限値は、わが国では、中性点直接接地方式の超高圧送電線の場合は430(V)、0.1秒、その他の送電線では300(V)を基準としている。

(2)常時誘導電圧
常時負荷電流の各相(I,I,I)の不平衡、送電線と通信線の不整とによる相互インダクタンス(M,M,M)のアンバランスなどによって生じる電圧であるが、常時は三相電流がほぼ平衡しており、かつ送電線の線間距離に対して通信線の離隔距離が大きく、各相の相互インダクタンスのアンバランスは小さいため、誘導障害は生じない。常時誘導危険電圧は制限値が60(V)と定められており、これは人体への影響を考慮して決定され、通信線における作業の支障となる。常時誘導縦電圧は制限値が15(V)であり、人体への危険はないがある種の通信機器の機能低下の原因となる。

(3)誘導雑音電圧
送電線に流れる高調波に含まれる、おもに第3調派成分などの零相分によって生じる電圧であり、特に100~1000(Hz)のものは通信線に雑音を生じる。これには0.5(mV)の制限がある。

電磁誘導障害対策としては、以下のものがある。

<送電側の対策>
1.架空地線の条数を増やす。
  1条より2条のほうが効果は大きいが、3条以上にしてもさほど効果は上がらない。
2.架空地線に導電率のよい鋼心イ号アルミより線等を使用し、分流効果を上げる。
3.送電系統の保護継伝方式を完備して、故障を瞬時に確実除去する。
4.架空送電線のねん架や逆相配列を取り入れる。
5.消弧リアクトル接地や高インピーダンス接地を採用する。

<通信側の対策>
1.ルートを変更して送電線と通信線の離隔を大きくする。
2.アルミ被誘導遮へいケーブルのような特殊遮へいケーブルを採用し、遮へい係数を60(%)以下にする。
3.通信線の途中に中継コイルあるいは高圧用誘導遮へいコイルを挿入して、誘導電圧を分割または軽減する。
4.遮へい線、避雷器を設置する。
5.通信線路を地中化する

問4
【解説】
水車に関する諸要素の基本問題である。

(1)水車出力および効率
Hを有効落差(m)、Qを使用流量(m^3/s)とすれば、水車の入力は9.8QH(kW)で、これに水車の効率ηを乗ずるかまたは損失を差し引けば、水車の出力が得られる。本問では効率ηが与えられた。なお、第1図に各水車の効率を比較した一般的な曲線を示す。

(2)比速度
同一水車の回転数、流量、出力を調整することなく、落差のみを変えて運転する場合、(a)回転数は落差の平方根に正比例し、(b)流量も落差の平方根に正比例し、(c)出力は落差の3/2乗に正比例する。

この関係を式で示すと、落差変更前の水車の落差、流量、回転数、出力をそれぞれH,Q,n,Pとし、落差H’の所に使用したときの回転数、流量、出力をそれぞれn’,Q’,P’とすれば、

(a)n’=n√(H’/H)
(b)Q’=Q√(H’/H)
(c)P’=P(H’/H)^3/2

なる関係がある。ここに、H’=1とおけば上式は次のようになる。

(a)n’=n√H)
(b)Q’=Q√H)
(c)P’=P・H^3/2

この関係は同一水車に対して、楽さを変化した場合であるが、大きさの異なる水車を一定落差のもとに同一効率で働かせた場合については、(a)出力は直径の2乗に正比例し、(b)直径は出力の平方根に比例し、(c)回転数は直径に反比例する。これら三つのことにより、ある水車と相似形の水車で、同一効率のもとに落差1(m)に作用して、出力1(kW)を出す水車になおすと、ある回転数が得られる。この回転数をnとして一般式を作ると、

=n’・√P’
 =(n/√H)・(P/H^3/2)^1/2
 =n・P^1/2/H^5/4 (r/min)
(∵n/n’=√(P’/1)

となる。ただし、上式の単位は、nは(r/min)、Pは(kW)である。これはその水車を相似形に保って大きさを変え、落差1(m)で1(kW)の出力を出すようにしたときの回転数で、これを水車の比速度または特有速度といい、水車の特性を表す重要な要素である。なお、上式中Pは、水車のランナ1個当たりまたはノズル1個当たりの出力で、複流形はランナ1個に対し水車出力の1/2をとる。

(3)落差と比速度との関係
各水車には最良の効率を与える比速度があり、落差に対してある限度があって、ペルトン水車では、n=8~25、フランシス水車ではn=50~350、プロペラ水車ではn=200~900程度である。nの最大値は経験から第1表の式で与えられる。

もし、落差に対してnが不適当であるときは、効率の低下、キャビテーションによる振動、腐食などを生じ、水車の特性をはなはだしく悪化する。なお、フランシス水車においては、落差と比速度とのおよその目安を表す次の実験式がある。

=1545/√H (m・kW)

これにより与えられた有効落差、使用流量、出力などを勘案し、まずこの式によってnのおよその目安をつけ、さらにn=n・P^1/2/H^5/4によってnを計算する。このようにして求められたnは、直結発電機の場合であれば、本問のようにn=120f/pに合致させる必要がある。

【mashaのつぶやき】
極数を求める問題(メインの方にて)。これ、無駄な手順を踏んでますね。元々の不等式から考えると14極であるわけが無いので…。

以上です。