ここの補足です。
ベクトル軌跡のポイントとして、
1.ベクトルの実部、または虚部のどちらか一方が定数で、もう一方が変数の場合、
ベクトル軌跡は直線となる。(しかも、軸に垂直・水平でしょうね)
2.ベクトル軌跡が直線となるベクトルの逆ベクトルは円軌跡を描く逆ベクトルの実部をx、虚部をyとおき、
x^2+y^2を求めて変形・円の方程式を導出する。
3.R、L、C>0、ω→0、ω=0、ω→∞、他ω=1/√(LC):問題、回路によるけど 等の条件から、
ベクトル軌跡が存在する領域を特定し、ベクトル軌跡を記述する。
みたいです。
RLC並列回路
電流Iは、IR+IL+ICとなるので…、
それぞれのインピーダンス、R、jωL、-j(1/ωC)による電流を求め、ベクトル和とすればよい。
この電流を求める時、回路インピーダンスを並列回路から求めてももちろんOK,でしょうが、
多分非常に式が面倒になり、大変、時間の無駄、です。結果は同じだろうし、ね。
後はベクトル軌跡を求めるのに、ωを0とか、∞とか、条件を考える。
そのために、電流を実部と虚部に分けて考えると、実部はE/Rで、定数。
虚部は変数を含む式となり、ωを0~∞とした場合、-∞~∞になります。
それと、虚部=0の条件から、この時のωを求めると、ω=1/√(LC)となります。
これらからベクトル軌跡として直線を描く事ができます。
RLC直列回路
この電流は、インピーダンスZから求めるしかないでしょう。
詳細はメイン参照で。
この問題の場合、x^2+y^2の演算結果で、分子が変数ωを含まないことに着目し、
それをxで表す事がポイントのようです。(というか、セオリー?)
また、円の方程式を作る際に、両辺に(この問題でいう)(E/2R)^2を加えて円の方程式を作る、
」という方法も定石である、と。
後は領域の検討。(手書きではしっかりやってないなぁ)
・ω=+0の時(+側から0に接近する)、x=+0、y=+0
・ω=1/√(LC)で、I2の虚部が0となる時、x=E/R、y=0
・ω=∞で、x=0、y=-0(-側から0に接近する)
となるから、ベクトル軌跡の回転方向や各部の値、となる。
コメント
「単純なRLC並列・直列回路のベクトル軌跡の問題である。ベクトル軌跡の基礎力である、
1.円の方程式を作る手順と、2.直線、円の存在領域を特定する手順
を“完璧に”マスターしていただきたい。」
らしいです。
最後に、別の解法を。:X(ω)が面倒なんで、Xに。変数はXです。
I2=E/(R+jX)=E/2R+{1/(R+jX)-1/2R}E
=E/2R + (R-jX)/(R+jX)・E/2R
である。ここで、R+jXについてθ=tan^-1(X/R)とすると、
(R-jX)=√(R^2+X^2)∠-θ、 R+jX=√(R^2+X^2)∠θ
となるので、 (R-jX)/(R+jX)={√(R^2+X^2)∠-θ}/{√(R^2+X^2)∠θ}=1∠-2θ
である。
よって、I2は
実部がE/2R:実部固定ベクトル
虚部がE/2R∠-2θ:半径E/2R の円ベクトル
ω=0でX=-∞より、-2θ=π
ω^2∠C=1でX=0より、-2θ=0
ω=∞でX=+∞より、-2θ=-π
となる。このベクトル図は中心(E/2R、0)、半径E/2Rの円軌跡を描くことになる。
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