ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。
問1
【解説】
試験場において解答のように求めることができ、なおかつ等価回路が描ければベストである。
ただし、限られた時間内で解答を作成しなければならないので、x1+x2=x12’であるから、Δ−Y換算を省略し、x12’でΔvを求めるのが得策である。
Δv=x12’×ql(コンデンサ設置なし)
Δv=x12’×(qlqc)(コンデンサ設置有り)
しかし、2種の受験者であることを考えれば、解答および解答に示した等価回路図を描くようにしたいものである。本問では電力用コンデンサによる電圧改善効果の計算法の基本問題であるが、今後の2種、さらには1種への出題を想定すると、変圧器三次側にコンデンサを設置した場合の二次母線電圧は、第3図のような等価回路となり、電圧降下Δvと二次母線電圧V2は、
Δv=x1×(ql+qc)+x2×ql
=0.0865×(0.6−0.2)+0.0735×0.6
=0.0346+0.0441
=0.0787
V2=150×77/154−77×0.0787
=75−6.0599
=68.9401(kV)
が得られる。
このような問題を解く場合、ポイントとなるのは、
1.基準容量を決めて、各インピーダンスを単位法に換算する
2.等価回路を描く
ことである。
なお、解答に示したΔ−Y換算を行列式を解いてもよい。
|0.16 | |1 1 0||x1|
|0.08 |=|1 0 1||x2|
|0.067| |0 1 1||x3|
を解けば同様の答えを得る。
解答は有効電流を無視した近似計算である。インピーダンスは変圧器のx12だけで比較的小さいので近似計算によるのもよいであろう。近似計算でない別解1によっても、ほとんど同じ答えになる。また、別解2は大分面倒である。
【別解1】
P3B=100(MVA)、V1B=154(kV)、V2B=77(kV)としてp.u.法で計算する。1相分で式を立てる。
負荷インピーダンスZLは、
ZL=E2B/I=1[p.u.]/I
=1/(P−jQ)
(電圧がV2BならI[p.u.]=P−jQ[p.u.])
E2=E1・ZL/(jx12+ZL)
コンデンサを設置した場合、
E1[p.u.]=V1[p.u.]
=150/154[p.u.]
P−jQ=0.8−j0.4[p.u.]
x12=0.16[p.u.]として、
V2[p.u.]=|E2|[p.u.]
=0.9089[p.u.]
V2=77×0.9089≒70.0(kV)
コンデンサを設置しない場合、
P−jQ=0.8−j0.6[p.u.]
として、68(kV)となる。
【別解2】
解答本文は、一次電圧が150(kV)であっても、負荷電流は77(kV)で80(MW)となる電流と解釈している。別解1は、負荷インピーダンスが77(kV)で80(MW)になるようなインピーダンスと解釈し、結果的には、負荷電流は本文と少し異なる。さらに、問題の80(MW)はV1=150(kV)のときの電力を意味しているものとする。
E2を基準ベクトルとし、1相について、
E1=E2+jx12I
=E2+jx12(P/E2−jQ/E2)
絶対値をとって整理すると、
(E2^2)^2+(2x12Q−E1^2)E2^2+x12^2(P^2+Q^2)
=0
これに別解1と同じ値を入れてE2を求め、
Cs有りの場合 68.6(kV)
Csなしの場合 65.4(kV)
となる。
単位法でなくても同様に計算できるが、単位法の方が簡単である。
問2
【解説】
高圧配電線に接続される負荷はいろいろな形態をとり、実際には完全な不平等分布負荷はあり得ない。一例として末端手中負荷の場合を考えると、その損失電力w(W)は負荷電流をI(A)とすると、1線当たりでは、
w=r・I^2・L(W)
となり、解答(4)式と比較すると線路条件が同じと考えるならば、損失電力は平等分布負荷の3倍となる。
損失係数は、
損失係数
=ある期間中の負荷電流の2乗の平均値/ある期間中の負荷電流の最大値の2乗
であるから、ある期間中の平均損失電力の最大損失電力に対する比率を示し、最大損失電力に損失係数を乗じることにより、ある期間中の平均損失電力を求めることができる。
損失係数は、負荷率と負荷率の2乗の中間値となり、負荷率のよい場合は負荷率に近い値を一般にとる。
配電線路の電力損失軽減策としては、次のような対策が考えられる。
(1)線路電流の減少
1.電圧の格上げ(昇圧):電圧をn倍とすれば電流は1/nとなり、電力損失は(1/n)^2となる。
2.力率の改善(コンデンサの設置):線路電流は√{(有効電流)^2+(無効電流)^2}であるから、無効電流を減少させることにより線路電流を減少できる。
3.線路電流の各相平衡化:損失は電流の2乗に比例するため、間然に平衡したときが損失最小となる。
(2)線路抵抗の減少
1.電線の太線化:断面積の増加による線路抵抗の減少
(3)系統的対策
1.フィーダ電流の平均化:ループ配電方式またはネットワーク配電方式の採用による各フィーダ間の負荷アンバランスの是正
2.線路こう長の短縮:変電所新設、き線新設による線路こう長の短縮、および電流密度の減少
以上です。
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