ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。
化学 問1
【解説】
鉛蓄電池は今日、最も普及している二次電池の代表である。
(1)電池反応
鉛蓄電池の充放電時の化学方程式は次式で示される。
PbO2 + 2H2SO4 +Pb
⇔PbSO4 +2H2O +PbSO4
※→放電、←充電
PbO2(二酸化鉛):陽極+
2H2SO4(希硫酸):電解液
Pb(鉛):陰極−
PbSO4(硫酸鉛):陽極+
2H2O(水):電解液
PbSO4(硫酸鉛):陰極−
(2)主要部材
正極は、多孔度60〜70(%)の暗褐色PbO2結晶、また負極はスポンジ状Pbを活物質とする。
隔離板(セパレータ)は電子的絶縁体で電解液をよく通し、PbO2に酸化されず、硫酸中でも安定で丈夫な微孔性ゴム板、強化繊維板、多孔性プラスチック板、ガラスマットなど用途に応じて使い分けられている。
電解液は純粋な希硫酸を用いる。希硫酸濃度は濃度の最もよい指標である比重で規定され、1.28±0.01(20℃)で管理される。
電槽は中が見えて便利なプラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)が主体である。
鉛蓄電池の表記方法はクラッド式はC、ペースト式はP、高率放電用(ペースト式)はHをまず記し、次に電槽がプラスチックならSを記す。例えば型式がCS−400はクッド式、プラスチック電槽、400A・hである。
(3)電圧特性
素電池の電圧は2.0(V)である。図1に鉛蓄電池の充放電特性を示す。10時間率程度の低率放電では、平坦な放電曲線となり、終止電圧になったら放電をやめ、すぐ充電する必要がある。終止電圧は放電率により異なり、10時間率では1.8V、3時間率で1.7V、1時間率で1.6Vを目安とする。充電は通常急速に行わず10時間率程度で行う。充電が90%以上進行すると、充電電圧が急に2.6V程度に上がる。つまり、充電が終期に近付くと充電電流のほとんどは活物質の化学反応から水の電気分解に費やされ、正極から酸素ガスが、負極から水素ガスが発生し、徐々に電解液が減少する。このため定期的に補水する必要がある点も考慮すると、90%充電にとどめた方がよく、また長持ちする。
(4)容量
電池を放電して規定の終止電圧に達するまでに供給し得る電気量をアンペア時容量といい、放電電流によって容量が異なり、放電電流が大きい程容量は小さくなる。放電電流を表すのに時間率を用いる。10時間放電できる放電電流を10時間率という。例えば10時間率の容量を100とすると、CS型では5時間率で80、3時間率で70、1時間率では50に下がる(25℃にて)。
(5)寿命
充・放電を繰り返していくと、電池は劣化し容量は低下する。初期容量の80%に劣化するまで何回、繰り返し充放電できたかを示す回数をサイクル寿命という。寿命の長短は使用条件や保守取扱の良否に大きく依存する。過充電、過放電、高温、高電解液濃度は悪影響する。
(6)サルフェーション
鉛蓄電池の取扱上の注意点としては過放電または高温状態で長時間放置しない事が上げられる。このような状態になると、電極表面上に白いPbSO4が析出し、電極は導電性の悪い膜で覆われ、充放電反応は著しく阻害され、電池容量は激減する。重量には対策が無く、極板を交換する。
以上です。
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