金曜日, 7月 11, 2008

OHM練習問題 機械 電熱 問1~補足

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。

電熱 問1
【解説】
(1)金属円柱の周りにソレノイド状にコイルを巻き、交流電流を流すと、電磁誘導により金属円柱に渦電流が発生し、そのジュール熱で円柱が発熱する。金属円柱中を流れる電流は表皮効果により表面に近いほど大きく、中心にいくに従って減少するが、この傾向は周波数が高いほど顕著である。この表面に集中する程度を表すのに電流の浸透深さδという語が用いられる。

δ=5.03√{ρ/(μr・f)} (cm)

ただし、
ρ:金属の抵抗率(μΩ・cm)
μr:比透磁率
f:周波数(Hz)

(2)誘導炉
金属を誘導過熱し溶融する装置を誘導炉という。これには商用周波数の電源を用いる低周波誘導炉と、1〜10(kHz)の周波数の電源を使用する高周波誘導炉がある。低周波誘導炉には、湯だめが簡単なルツボ状である「るつぼ形炉」、V字形のみぞの中で加熱が行われる「みぞ形炉」がある。高周波誘導炉は、るつぼ形炉の構造をしており、電源装置にはサイリスタを用いたインバータが適用される。

(3)低周波誘導炉と高周波誘導炉の比較
(a)高周波誘導炉の得失
ア.湯だめが簡単なるつぼ状であるため連続作業が不必要となり、短時間で加熱・停止ができる。
イ.局部加熱が容易で、特に表面焼入れに適し、周波数を適当に選ぶことにより焼入れ厚さを調整することができる。
ウ.取扱が容易で、操作に熟練を要しない。

欠点は、
高周波を発生させる電源装置や力率が非常に低いので、電力用コンデンサなどの調相設備に費用がかかる。

【主な用途】
特殊鋼・合金の製造・溶解、貴金属の溶解、金属の真空溶解、鋳造用過熱、金属の表面焼入れ、金属のロウ付け、半導体の熱処理に用いられる。

(b)低周波誘導炉の得失
ア.V字形のみぞの中で加熱が行われ、耐火物で囲まれているので熱効率がよい。
イ.連続作業に用いられ、金属の損失が少なく、攪拌作用も十分である。
ウ.力率は75〜85%で商用周波数の電源が利用できる。

欠点は、
ア.浴湯を常にある程度残しておく必要があるので断続作業には向かない。
イ.炉の構造が複雑である。
ウ.定電圧大電流で溶融金属に大きな電磁力が働き、炉の取扱いに熟練を要する。

【主な用途】
溶融温度が比較的低く導電率が高い銅、銅合金、亜鉛、アルミニウムなどの非鉄金属、軽合金、鋳鉄などの溶解に用いられる。

以上です。