水曜日, 8月 08, 2007

理論の試験対策練習問題より2問の補足。

ここの補足です

問5 ひずみ波交流
ポイントは…、
・等価正弦波とは、ひずみ波をひずみ波と同一の実効値を持ち、基本波と同じ周期(周波数)の正弦波として扱う考え方。

・等価正弦波の電圧、電流の位相差は、
cosθ=P/EI
で定義する。ただし、E,Iはひずみ波電圧、電流の実効値、Pは有効電力を示す。

・本問において、注意点は、ひずみ波電流において、第3高調波はcosで表現されている事。cosは、sinに対して90度(1/2 π)遅れるので、変換する場合は、
cosφ=sin(φ-1/2 π)

・ひずみ波における実効値は、各調波成分実効値の2条和平方根、となる。

・また、力率については、各調波の電圧、電流において求める必要がある。これは、次で求める有効電力を求める際に必要。

・有効電力は、各調波成分同士での有効電力の和となる。逆に言うと、第5高調波電圧があっても、第5高調波電流がない場合には、この調波において電力は発生しない。

・皮相電力は電圧、電流の実効値の積で求められる。

・これらから等価力率を求める事ができる。

・等価力率のアークコサイン(cos^-1)を求めれば、等価力率角が求められる。

・これらから、電圧実効値の基本波及び、電流実効値と基本波で、等価力率角分の位相差で表現できる。

【補足の補足】
波 形率、波高率、ひずみ率などを通じてひずみ波が正弦波からどのくらいひずんでいるかということを定量的に捉えることができるが、正弦波からのひずみが比較 的小さい場合は、これを正弦波で近似して取り扱う事がある。その一つの方法が等価正弦波という考え方で、ひずみ波と同一の実効値を持ち、基本波と同じ周期 の正弦波としてひずみ波を扱う。

ひずみ波電圧、電流の位相差θは次のように定義されている。ある回路にひずみ波電圧e(t)(実効値E)が加えられてひずみ波電流i(t)(実効値I)が流れている場合、回路の有効電力をPとすれば、

cosθ=P/EI

で、その位相差を定義する。このcosθを等価正弦波の力率と見なす。θを等価位相差という。

このような等価正弦波の考え方を導入する事により、ひずみ波を正弦波として扱えるようになる。

例 えば、変圧器の励磁電流も正確にはひずんでいる。しかし、高調波の存在する回路計算は非常に煩雑である。よって、ここに紹介した等価正弦波として取り扱っ ている。等価正弦波励磁電流は実効値が実際のひずみ波励磁電流と等しく、位相は正弦波電圧を印加した場合に生じる消費電力P(中身は鉄損である)により決 定している。このように扱う事により、図のように変圧器励磁回路やベクトル図があたかも正弦波であるように描かれている。その扱いが非常に簡単になる。

問6 直流回路
ポイントは…、数値代入しての計算を、比較的早い段階でしないと大変、って事かなぁ。
【補足の補足】
この解法は節点(ノード)方程式と呼ばれる方法である。抵抗や電源などを「枝(ブランチ)」、これらの接続点を「節点(ノード)」と呼ぶ。この節点の電圧を求めることで、各枝に流れる電流を求めるものである。

回 路中の節点電圧がわかるので、テブナンの法則や重ねの理のように注目箇所だけでなく、あらゆる箇所の電流を比較的簡単に計算することが可能である。よく利 用される、キルヒホッフの法則をループ方程式で適用するに比べて、未知数が少なくなるという利点もある。方程式を作る際、注目するのは「枝」だけで良いの で考え方もシンプルである。節点方程式を用いた解法、すなわち節点解析についてもう少し解説しておこう。

節点解析では、電源は全て電流源を用い、抵抗、静電容量、インダクタンスはアドミタンス表現を用いる。

本問の場合、直流回路なので抵抗はコンダクタンスで表す。また、定電流源Iには直列に抵抗R5が接続されているが、定電流源Iの内部抵抗は無限大なので省略しても影響はない。定電圧源Eと抵抗Rの直列接続回路については、定電流源IE=E/RとコンダクタンスG=1/Rの並列接続回路に等価変換できる。その結果、図の回路(手書き最下部参照)が得られる。同図の回路は、3個の接点a,bおよびcを有するが点cを基準電位(電位0)の点と考えることにより、点aと点bの2点の電位V,Vが未知数になる。

次に節点aにキルヒホッフの第1法則(電流則)を適用すると、
(G+G)V+G(V-V)=IE (1)
あるいは、
(G+G+G)V+(-G)V=IE (2)

(1)式の左辺第1項は節点aから基準節点に向けて流れる電流、左辺の第2項は節点aから節点b(基準節点を除く節点a以外の節点)に向かって流れる電流であり、右辺は定電流源から節点aに流入する電流である。

また、(2)式の形に変形すると、左辺第1項は、節点aに接続される全てのコンダクタンスの和に節点aの電位Vを 乗じたものであり、節点a以外の節点(この場合は節点b)の電位を零とした場合に回路に流れる電流である。また、左辺第2項は節点aの電位を零とした場合 に他の節点(この場合は節点b)から節点aに向かって流れる電流である。右辺が定電流源から流入する電流である点は同じである。

同様に、節点bについても、次式が成立する。

・V+G(V-V)=I (3)
あるいは、
・V+(G+G)・V=I (4)

(2)および(4)が節点方程式であり、電流源とアドミタンスだけの回路が決まれば、ただちに方程式を書き下ろすことができるので、これを連立して解けばよい。

以上です。ん~、解答に直結し辛い、なぁ…。