木曜日, 8月 09, 2007

理論の試験対策練習問題、問7、8

ここの補足、です。

問7 超電導

超電導およびジョセフソン素子に関する基本的な現象、用語に関する問題である。

超電導状態は、

1.臨界温度(転移温度ともいう)以上の温度にするか
2.臨界磁界以上の外部磁界を印加するか
3.臨界電流以上の電流を超超電導体に流すと超電導状態は破れ、状電導状態い転移する。

臨界電流以上の状電導状態への転移は、自己電流による自己磁界が、臨界磁界を超えるためである。

超 電導材料には、鉛(Pb)、錫(Sn)、ニオブ(Nb)、インジウム(In)、などの元素金属系超電導材料、Nb-Ti合金、Pb-Bi合金などの合金系 超電導材料、1986年以降に発見されたイットリウム(Y)系、ビスマス(Bi)系、タリウム(Tl)系の酸化物超電導材料などがある。酸化物超電導材料 では、臨界温度が100K以上(液体窒素温度は77K)の高温超電導材料が発見されている。

超電導材料は、外部磁界を印加した場合の振る舞いにより、第一種超電導体と、第二種超電導体に分けられる。

第一種超電導体は、一つの臨界磁界Hを持ち、外部磁界が臨界磁界H以下では図(内部の磁界の様子:手書)bのように完全反磁性を示し、外部磁界は侵入できない。この現象をマイスナー効果と呼ぶ。印加された外部磁界を次第に大きくしていき、臨界磁界Hを超えると超電導は突然破れ、超電導状態から常電導導体に急激に転移する。第一種超電導体は、軟超電導体と呼ばれることもある。

第二種超電導体は、臨界磁界として下部臨界磁界Hc1と上部臨界磁界Hc2の二つの臨界磁界(Hc1<Hc2)を持つ。

第二種超電導体を超電導状態とした後に、外部磁界Hを印加し、下部臨界磁界Hc1を超えると(Hc1<H<Hc2)、図(内部磁束の様子:手書)のように外部磁界の一部の磁束が、量子磁束(φ0=2.07×10^-15 Wb)単位で、超電導体内に侵入しはじめ、外部磁界を大きくすると侵入する外部磁束は増加し、上部臨界磁界Hc2に達すると、つしに超電導状態が破れて、常電導状態となる。第二種超電導状態は、硬超電導体と呼ばれることもある。

設 問の図のように、二つの超電導体をきわめて薄い絶縁層(~20Å)などを挟んで、弱く結合した素子を、接合型ジョセフソン素子と呼ぶ。弱く結合する部分を 弱結合部(Weaklink)と呼び、その種類により、ジョセフソン素子には、図(手書)(a)ポイントコンタクト型ジョセフソン素子、(b)ブリッジ方 ジョセフソン素子、(c)近接効果型ジョセフソン素子などがある。

ジョセフソン素子では、二つの超電導体内の超電導電子が互いに相関を持ち、二つの超電導体間の電位差により、絶縁層などの障壁があるにもかかわらず、電位差ゼロで超電導体間にトンネル電流(ジョセフソン電流)が流れる。この現象を、ジョセフソン効果と呼ぶ。

ジョセフソン素子にマイクロ波を当てると、その電流-電圧特性上に、マイクロ波の整数倍の位置で、低電圧のステップ(シャピロステップ)が生じる。この性質を利用して、ジョセフソン素子は、電圧標準として実用化されている。

また、ジョセフソン素子は、ピコ(~10^-12)秒オーダーの高速スイッチング特性とμWオーダーの低消費電力を有することから、超高速コンピュータ用素子としても研究が進められている。

問8 演算増幅回路

図7の回路は演算増幅器の反転増幅形の回路である。出力電圧Vは、次のようにして求める。

反転入力端子電圧V-は、非反転入力端子電圧V+と等しい(*)。したがって、V-=V+=0となる。

*反転入力端子電圧V-と非反転入力端子間電圧V+が等しくなる理由
抵抗Rに流れる電流Iは、

=V/R

となる。演算増幅器の入力電流はゼロであるのでインピーダンスZの電流は電流Iと等しい。したがって、インピーダンス素子Zの両端電圧Vzは、

Vz=Z・I=V×Z/R

となり、出力電圧Vは以下のとおりとなる。

=V--Vz=-Z/R・V (1)

(a)インピーダンスZが抵抗Rである場合、出力電圧Vは(1)式より、

=-R/R・V

電圧増幅率V/Vが抵抗の比で表され、さらに位相が180度反転する。

この回路は反転増幅回路と呼ばれる。

(b)インピーダンス素子ZがコンデンサCである場合、出力電圧Vは、(1)式より、

=-(1/jωC)/R・V
 =V/jωCR

電圧増幅率(V/V)は入力信号の周波数に反比例して変化する。

この回路は積分回路と呼ばれる(図:手書)

(c)インピーダンス素子ZコンデンサC抵抗Rの合成インピーダンスZは、

Z=R/(1+jωCR

出力電圧Vは(1)式より、

=-Z/R
 =-R/R・V/(1+jωCR) (2)

この回路は一次遅れ回路と呼ばれる(図:手書)。

この結果から次の事が確認できる。(2)式より、(出力電圧の大きさV)/(入力電圧の大きさV)を示す電圧増幅率は、入力信号の周波数によって変化する。入力が直流(ω=0)の場合には反転増幅回路の電圧増幅率と等しい。入力信号の周波数が増大すると(2)式の分母が大きくなり、出力電圧が低下していく。R=1(kΩ)、C=1(μF)とした場合の周波数の変化に対する電圧増幅率(dB)を図(手書)に示す。電圧増幅率が直流の場合から-3dB、つまり1/√2となる周波数をカットオフ周波数fcと呼ぶ。1次遅れ回路ではfc=1/(2πCR)であり、上記回路定数の場合、fc=159(kHz)となる。

演 算増幅器を用いた増幅回路では、演算増幅器の入出力端子間にL,C,Rまたはその組み合わせで構成される帰還回路が設けられる。この問題ではインピーダン ス素子Zが帰還回路となる。このとき、演算増幅器自身の持つ電圧増幅率(出力電圧/二つの入力端子間の差電圧)は非常に大きい(おおよそ数千~数万倍)の で、出力電圧が有限の電圧となるためには入力端子間の電位差はゼロとならなければならない。つまり、演算増幅器の二つの入力端子電圧はつねに等しくなる。

以上、です。手書とかも…。