火曜日, 9月 18, 2007

2種二次試験の勉強に突入。過去問より、1問ずつ〜解説です。

平成18年電力管理 問1
ここの補足・解説です

【解説】
(1)水車の適用有効落差領域と主な特徴を以下に示す。
(a)ペルトン水車
ペ ルトン水車は、水の位置エネルギーを運動エネルギーに変えて機械的エネルギーを得ているため、一般に150m程度以上の高落差領域で用いられる。最高効率 は他の水車に比べてやや劣るが、ペルトン水車は負荷変動時にニードル弁で水流を調節するため、軽負荷時でも効率の低下が少なく、負荷の変化に対して効率特 性は平坦である。なお、多ノズル形では負荷に応じてしようノズル数を切り替えて運転することにより、さらに効率の低下を防ぐことができる。

(b)フランシス水車
最も数多く、一般的に採用されている型式であり、50〜500m程度の中落差から高落差まで広範囲にわたって適用される。
最高効率は定格出力においては高いが、効率特性は負荷の変化及び落差の変化に対して敏感であるため、軽負荷時には効率がかなり低下する。

(c)斜流水車
一般に40〜180m程度の中落差領域で用いられる。フランシス型より高比速度であるから、主機全体としては経済性をはかることができる。
構造上はフランシス水車に似ているが、プロペラ水車の羽を斜めにして、ランナボスの径を大きくしたものと考えることもでき、適用領域と効率特性は、フランシス水車とプロペラ水車の中間にある。
デリア水車では負荷に応じてランナベーンの開度を調整することにより負荷の変化に対して平坦な効率特性が得られる。

(d)プロペラ水車
20〜80程度の低落差から中落差領域で用いられる。比速度は高く、固定羽式では低負荷時に効率が著しく低下するが、ランナベーンを可動としてカプラン水車では、負荷の変化に対して平坦な効率特性が得られる。

(e)その他
さらに低落差領域では、バルブ水車、チューブラ水車が用いられ、数百kW以下の領域では、構造の簡単なクロスフロー水車が用いられる。

(2)水車の比速度
水 車の比速度とは、その水車と相似な水車を仮想して、1mの落差のもとで相似な状態で運転させ1kWの出力を発生するような寸法とした時の、その仮想水車の 回転速度をいう。すなわち、比速度が高いものは、高速回転形となり、ランナ形状が小型となる。ただし、比速度は下記に示されるように与えられた落差から上 限が決められる。ペルトン水車は比速度の範囲が狭く低速度形となるため、水車、発電機とも大型になる。

種類…比速度(m・kW)…適用落差(m)
ペルトン水車…Ns≦4300/(H+195) +13…150〜800
フランシス水車…Ns≦21000/(H+25) +35…40〜150
斜流水車…Ns≦20000/(H+20) +40…40〜180
プロペラ水車…Ns≦21000/(H+20) +35…5〜80
クロスフロー水車…90≦Ns≦110

水車は落差、出力によって適用範囲が分けられるが、適用できる型式が二つ以上ある場合には、効率特性、コストなどを総合勘案して決定する。
ま た、水車の最高効率は比速度Nsと出力により図(後日)のような傾向を示す。次図は出力と効率の関係を示す。ペルトン水車ではノズル数を変えることにより 低負荷時の効率低下を防ぐことができる。カプラン水車ではランナベーンの角度を変えることにより負荷の変化に対して平坦な効率特性が得られる。

(3)水車の回転速度
水 車及びそれにつながる発電機は回転速度が大きい程寸法が小さくなり、価格も安くなる。しかし、回転速度があまり大きいと、機械的な強度から制約を受ける。 また、キャビテーションが発生しやすくなり、効率の低下及びランナ壊食などの問題が起きる。したがって、水車には適当な回転速度がある。