金曜日, 9月 28, 2007

二種二次試験電力管理過去問、H17問12、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。

2005年分へ突入。

問1
【解説】
この問題は過去電験3種に出題された問題の類題であり、電験第3種受験時に学習した基礎的な事項をしっかりと覚えていれば簡単に解くことができる問題である。平均流量、最大出力の公式は覚えておかなければならない公式である。

なお、電験第2種受験者は降雨量に関する次の諸公式も覚えておく必要がある。
1.流出高=総流出量(m^3)/流域面積(km^2)×100^-3 (mm)
2.損失高(mm)=降雨量(mm)-流出高(mm)
3.損失率=損失高(mm)/降雨量(mm)
4.流出係数=流量(m^3)/降水量(m^3)

流出高は流出量(体積)を流域面積(面積)で除すれば高さとなる。
ここでいう高さは、単位面積あたりの高さ、である。
つまり、降雨量も単位面積あたりの高さ、とも表現できるため、降雨量に対する流出高(降った量に対して実際に水位が上がった量)の、差が損失高、割合が損失率ということになる。

また、高さ同様の係数として、流出係数は高さではなく、量(体積)の比率で表したもので、降水量に対する流量の比率となる。

問2
【解説】
(1)大容量変圧器の分解輸送と組立輸送
従来、大容量変圧器は、分解輸送が常識とされていたが、近年、大容量器の組立輸送の技術が発達し、山間の水力発電所のような特殊な場合を除いて、ほとんど組立輸送が可能になっている。

変圧器の組立輸送を行えば、現地組立室及びクレーンの省略、分解組立に要する工期と費用の節減など利点が多い。

このため、特に、
1.変圧器本体の重量と外形寸法の縮小
2.大容量変圧器輸送専用貨車の使用
3.輸送の為の特殊設計

な どについて種々工夫されていて、外鉄形変圧器においては、単相に分割した中身とタンクとを組立輸送し、現地で共通ベース上に組み立て、上部に共通カバー をつけるもの(特別三相式構造)、内鉄形変圧器においては、輸送時の高さを切り詰めるための5脚鉄心の採用、鉄心の継鉄部分を取外して仮ふたを使用して輸 送するもの(分割三相式)などがあり、さらに、仮タンクで送られた三相変圧器2台を現地で同一のタンクに並べ入れ、1台の変圧器にする方法などがある。

(2)機器据付工事
機 器の据付は、架線工事などの上部作業が終了した後に行うのが好ましい。変圧器や遮断器などの現場組み立ての機器は防じん面で特に配慮する必要があり、気象 情報に留意し、組立現場周辺の車両の通行や土木工事などを中止して万全を図る。また変圧器など内部に人が入って作業する場合は、防湿、防じん、酸欠防止の ための乾燥空気の送り込み、着衣からのじんあい・工具の脱落防止のための専用作業服の着用などの配慮が必要である。

(3)大容量変圧器の真空乾燥と絶縁油の注入
真 空乾燥法は、大容量変圧器に最も適した方法で、所要日数も短く、乾燥も完全に行われる。第1図(添付)に示すように、外圧に耐えられるように補強した外箱 内に変圧器本体を入れ、内部に加熱管を入れてボイラから蒸気を送り、一方、内部を真空ポンプで35(kPa)程度の真空として、水分の蒸発を促進させる。

外 箱内温度は80~90℃とし、復水器に凝結する水分の量を測定して、絶縁抵抗の変化とあわせ考慮して乾燥の進行程度を判定する。乾燥が終了すれば、真空を 破って中身をつり出し、各部の締付を点検調整の上、再び外箱内につり込み、常圧のままで12時間以上再乾燥して、絶縁油脱気装置によって脱気脱水した油を 注入する。

(4)
ガス絶縁変圧器の水分・ういんあい・純度の管理
(a)水分の管理
SFガス中の水分は、外気温の変化により絶縁物表面に結露して絶縁低下の原因となったり、分解ガスと反応して活性なフッ化水素を生成し、絶縁材料を劣化させる原因となるため、ガス中の水分量は厳しく管理する必要がある。

通 常、分解ガスあるいはガス中の水分は合成ゼオライトなどの吸着剤によって管理値以下に吸着される仕組みになっているが、機器の据付時に吸着剤が大気中に長 時間さらされるので、所要の新しい吸着剤と交換し、30分以内に真空引きを開始することが望ましい。また、ガス充てんに際しては機器内部を真空乾燥するた め、真空度0.133kPaに達した後、少なくとも30分以上真空引きし、SFガスを所定の圧力まで充てんしている。

SFガス自身の絶縁強度は、ガス中水分にそれほど影響されない。しかし、SFガ ス中に固体絶縁物が存在すると、絶縁物表面への水分付着によって沿面絶縁特性が影響を受ける。そのため、ガス絶縁機器中においては露点が0℃以下になるよ うに水分量を管理すれば、絶縁低下はほとんど無視できると考えてよい。基本的にはガス中水分の露点は許容値0℃、管理値-5℃以下として実用上支障ない が、実際は濃度表示で第1表(添付)のように定められている。;

SFガス中の水分やアークによる分解ガスSF、SOFを 管理値以内とするため、両者を吸着する吸着剤がガス絶縁機器内部に封入されている。この吸着剤としては、主に活性アルミナ、合成ゼオライトが用いられてい る。しかし、合成ゼオライトのほうが分解ガス吸着能力及び低温度領域における水分吸着能力とも活性アルミナより優れた特性を有している。

(b)じんあいの管理
SFガスの絶縁特性は平等な電界条件下では優れているが、その反面、金属粉などのじんあいが付着していると大幅に絶縁が低下する危険があるので、据付時におけるじんあいの管理について十分配慮する必要がある。

現 地据付時には、機器内部へじんあいの侵入を防ぐために機器全体を遮へい物で囲み、タンクの開放部もビニルシートなどで覆って作業を行っている。また、作業 者も専用の防じん服、靴および帽子を着用し、人に付いて侵入する異物を防いでいる。据付時のじんあいの管理はダストメータで測定し、20カウント(0. 2mg/m^3)以下であることが望ましい。

SFガスの絶縁性能に顕著な影響を与えるのは0.1mm以上の金属片であるが、これらは目で十分検知することができ、組立時に除去することが可能である。

一 般的なガス絶縁機器の組立工場におけるじんあいの管理は0.01~0.05(mg/m^3)程度となっているのに対し、現地据付時はその管理値より1桁悪 い環境で作業するので、十分な環境整備を必要とし、将来的には作業環境に左右されない接続・組立工法、あるいは全装可搬化を図る必要がある。

(c)SFガスの純度管理
SFガスの不純物としては、CF、水分、空気、フッ化水素、油分などがあり、微量であれば実用上無視しても支障がないが、SFガスを再利用する場合にガス給装置の取扱によっては水分、油分などが混入するので、SFガスの純度に注意する必要がある。

SFガスの純度管理については、機器に封入したSFガスを直接管理するのが望ましいが、ガス給排時のSFガス絶縁機器や給排装置の回収タンクの真空度を0.133kPA以下になるようにすれば問題とならない。

なお、SFガスの純度は第2表に示す値で管理すれば実用上支障はない。

以上、です。久々に長い…。