土曜日, 9月 29, 2007

二種二次試験電力管理過去問、H17問3,4、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。


問3
【解説】
(1)電線の抵抗と安全電流
電線に電流を通じたとき、抵抗による発熱によって電線の温度は上昇し、これがある温度以上になると材質に変化を生じ、電線の諸性能を低下させる。電線材質の変化は、過熱される時間と温度によって影響される。第2図にそれらの関係を示す(添付)。

図 からもわかるとおり長時間連続加熱しても機械的性能が低下しない温度として90℃が標準の最高許容温度に推奨されている。このとき流しうる電流を、安全電 流又は連続許容電流という。また短時間なら温度を100℃に上げても性能はほとんど変化しない。このとき流しうる電流を、短時間許容電流という。

つまり、抵抗によるジュール熱の発生が低減されれば損失が少なくなり、裏を返せば同じ損失まで許容されるならば、送電容量の増加を図ることができることになる。

一般に、送電容量を増加させるための方策としては、
・インダクタンスを減少する
・静電容量を増大する
・送電電圧を高める
などが挙げられる。

(2)コロナ放電による障害
送 電線にコロナが発生すると、電力損失、ラジオ障害、電力線搬送通信設備への障害、コロナ振動障害、消弧リアクトルの消弧力低下、直接接地系での誘導障害な ど種々の障害を引き起こす。ただし、雷サージが電線を伝搬してゆくときはコロナがその波高値を減衰させる役割を果たすという利点がある。

(3)コロナ放電発生の要因
架 空送電線では絶縁を施さない裸電線を使用し、その絶縁は空気に頼っている。このため送電電圧が高くなると、空気の絶縁性を考慮しなければならなくなる。空 気の絶縁耐力には限界があり、気温20℃、気圧1013.25hPaの標準状態において、波高値で約30kV/cm、実効値で21.1kV/cmの電位の 傾きに達すると空気は絶縁力を失い、電線表面から放電がはじまる。これをコロナ放電と呼び、次の性質がある。

1.薄光および音を伴い、電線、がいし、各種の金具などに発生する。
2.細い電線、素線数の多いより線ほど発生しやすい。
3.晴天の時よりも雨、雪、霧などのときのほうが発生しやすい。

架空送電線では細い素線を何本もより合せた「より線」を使用しているので、電線表面には凹凸があり、電線表面の電位の傾きは平等ではない。このため30kV/cmの電位の傾きを生じた部分にだけ、局部的に放電が生じる事になる。

電線表面全体が30kV/cmの電位の傾きとなればフラッシュオーバに至るが、コロナ放電はフラッシュオーバに達しない状態での持続的な部分放電であり、薄光および音を伴い、一般に電線、がいし、各種の金具などに発生する。

電線表面の電位の傾きがある値を超すと、空気が電離してコロナが発生するが、このコロナが発生し始めるような電位の傾き(コロナ臨界電位の傾き)は次の実験式によって求められる。

g0=(30/√2) δ^(2/3) (1+0.301/rδ) (kV/cm)

ここで、δは相対空気密度であり、気圧p(hPa)と気温t(℃)により次式から求められる。

δ=(0.2892p)/(273+t)

δの値は、1013.25hPa、20℃のとき1となる。rは電線半径(cm)である。

実際の送電線では、電線の表面状態、天候などの影響を考慮に入れた字式(単導体方式の場合)が使用されている。

0=m01×48.8δ^(2/3){1+0.301/√(rδ)}log10(D/r) (kV)

ただし、
0:電線表面の状態に関係した係数であり、表面の精粗、素線数によって表1(添付)の値をとる(表面係数と呼ばれる)
1天候に関係する係数であり、雨天の時の空気の絶縁力の低下度を表し、晴天の時1.0、雨、雪、霧などの雨天の時0.8とする(天候係数と呼ばれる)。

問4
【解説】
%インピーダンス法で演算する。
基準容量を50(kVA)として、変圧器の%インピーダンスを基準容量換算する。30kVAの%インピーダンス%Zは、

%Z=50/30 ×5=8.33 (%)

50kVAの%インピーダンス%Zは%Z=5(%)である。

次に基準電流IBASE(A)を求めると、

BASE=SBASE/VBASE
  =50×10^3/200=250(A)

したがって、短絡電流I(A)は、

=100/(%Z+%Z) ×250
 =100/(8.33+5) ×250=1875(A)

となり、オーム法で求めた値と%インピーダンス法で求めた値は一致する。

この問題は、問1と同様、過去電験第3種に出題された問題の類題であり、電験第3しゅ受験時学習した基本的な事項を確実に覚えていれば、解答を簡単に導くことができる。