ここの補足、です。
問題分解答内容については、ここ参照で。
問3
【解説】
送電線と通信線が接近しているとき、相互の誘導的結合によって、通信線に電圧が誘起される現象を電磁誘導といい、通常、高電圧の三相送電線は故障以外はほとんどバランスして相電流が流れているので、大電流が流れてもある程度通信線が離れていると、各相と通信線の間の相互インピーダンスはほとんど等しく、電磁誘導電圧は生じない。
しかし、送電線に地絡が発生して過大な電流が流れると、その大地を帰路とする電流成分による電磁誘導作用によって、通信線に大きな電磁誘導電圧を生じ、通信線の作業員に危害を加えたり、通信機器を破壊するなどの傷害を与えるおそれがある。
(1)異常時誘導電圧(1線地絡故障)の求め方
送電線に1線地絡故障が発生した時に、電磁誘導により通信線に発生する誘導電圧Vm(V)を表す式は、次のように求めることができる。
電磁誘導障害は第2図のように原理的には相互インピーダンスをもつ電気回路で考えられ、閉回路の相互交さ磁束によって生ずる。
したがって、第2図のように、Ie、Φ、eの正方向を決めれば、通信線に生じる単位長あたりの誘導電圧は、
e=dΦ/dt
ここで両導体間の相互インダクタンスをM(H/m)とすると、Mi=Nφ→φ=Mi/Nを代入し、
e=dφ/dt=M(di/dt)
これにi=Ie sin ωt を代入して、
e=M・d(Ie sin ωt)/dt=ωMIecosωt (V)
次にD(m)を乗じ絶対値を求める。
Vm=|jωMIeD|
=2πfMIeD (V)
が求まる。また、三相送電線を考えると、各相の電線と通信線間の相互インダクタンスの相違を無視して、第3図のように、Ma≒Mb≒Mc≒Mとすると、
Vm=j2πfMD(Ia+Ib+Ic)
=j2πfMD×3I0 (V)
で表される。ただし、上式のI0は、零相電流を表す。
したがって、上式より電磁誘導は送電線の零相電流によって誘起されることがわかる。
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