金曜日, 10月 05, 2007

二種二次試験電力管理過去問、H16問5,6、補足。

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。


問5
【解説】
(1)保護区間と選択遮断
電力系統で事故が発生したときは、なるべく高速度で、かつ必要最小限の停電範囲で事故を除去することが望ましい。

ある保護継電装置が保護すべき区間を、その装置の保護区間という。第2図(添付)はその例で、破線で囲まれた範囲が、ある一つのあるいは1組の装置の保護区間である。

保 護区間の限界は、継電装置の入力をうる変流器の設置場所で決まる。第2図では保護区間が重複しているが、盲点をなくす意味で望ましい事である。しかし、重 複させるには、たとえば、遮断器の両側に変流器を設置する必要があり、重複した場所に事故が起きると不必要な範囲まで停電するおそれもある。

事故発生の際、各所の保護継電装置は事故区間を選択して最小限の停電で事故を除去するのが原則である。

(2)盲点事故と対応策
保 護対象の全区間の故障を的確に検出できるもののうちで、総合的に見て最も動作時間の速いものを主保護リレーという。保護範囲はCT設置点で決定される。す なわち、第3図(a)の事例では保護上盲点があるため、通常は同図(b)のとおりCTは遮断器を含んで保護区間を重複することにより、系統のあらゆる部分 の故障除去が可能となる。

保護区間が重複する部分の故障に対しては双方のリレーが動作するため、必要以上の遮断器が動作するが、重複する部分は比較的狭く、また盲点での故障はより広範囲の停電を招くので、保護範囲を重複させる事を基本に保護方式が構成される。

この主保護リレーは故障除去の主体をなすものであるから、適用される電力設備の重要度に見合った最も性能の高いものが採用される。なお、主保護リレー設置上の配慮事項は次のとおりである。

1. 重要度の高い基幹送電線においては、主保護リレーを2組設置し、いずれのリレーでも遮断器を動作できるようにしている。この2組のリレーは一般的には全く 同じリレーとすることが多い。また、これと協調を図るため、遮断器のトリップ回路まで2系列化している。このようにすることにより送電線故障除去に対して 保護信頼度の向上を図っている。

2.重要度の高い母線に適用される母線構成は、複母線や環状母線があり、一括保護方式と分割保護方式を組 み合わせて、2個のリレーがすべて動作したときに初めて遮断器を動作できるようにしている。送電線保護リレーと母線保護リレーシステム構成の考え方に違い が生ずるのは、母線保護リレーが送電線保護リレーに比較して誤動作の影響が特に高いためである。

(3)回線選択継電方式
平行2回線の場合に、両回線変流器の二次回路を交差接続し、方向継電器と過電流継電器を組み合わせることにより、故障回線を選択して遮断するものである。

保護区間外部の事故時には継電器に電流は流れないため、過電流継電方式のように保護区間の各段ごとに動作時限差をもたせる必要がなく、即時動作とすることができる。

回線選択継電方式の原理を第4図(添付)に示す。保護区間内に事故があるときは、両回線の電流の差が継電器に流れる。たとえば、図のように1号線のF点で事故があったとき、図の矢印の方向を正方向として、A端子の継電器にはI-Iが流れ、B端子の継電器には2Iが流れる。この継電器電流の位相は、事故が1号線側か2号線側かによって逆位相になるため、方向継電器によって事故回線を選択することができる。

この方式は、1回線停止時には使用できない。また、保護区間外部事故時には動作しないため、過電流継電方式のように遠方後備保護の役割を兼ねることはできず、過電流継電法式あるいは距離継電方式の後備保護装置が必要である。

ま た、たとえば第4図で事故点がA端子に近い場合、始めにA端子の遮断が行われ、その後B端子遮断という直列引き外し動作となるが、そのときA端子遮断後B 端子遮断までの間は、事故電流は2号線を通って1号線Fに流れる。この事故電流はA端子で2号線側の継電器を動作させようとする。したがって、事故回線を 選択し、遮断した後、健全回線の遮断器が遮断しないように、ただちに引き外し回路を開放するようなインタロック回路が必要となる。

問6
【解説】
力率を改善して変圧器容量を変更せずに負荷設備を増設する場合、添付のようなベクトル図を描くと試験場でも誤りを少なくする事ができる。

また、本問では3種受験時に学習した次に示す需要率、負荷率、不等率の定義式をよく覚えておく事が重要である。需要率、負荷率、不等率の問題は、平成8年度の二次試験にも出題されている。
(このときで、8年ぶり?今年は出ない??3種試験でも出てたなぁ…)

需要率=最大需要電力/設備容量
負荷率=平均需要電力/最大需要電力
不等率=最大需要電力の和/合成最大需要電力