月曜日, 10月 01, 2007

二種二次試験機械制御過去問、H17問1,2、補足。



ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。


問1
【解説】
(1)電機子巻線方法
(a)重ね巻
重ね巻は、電機子のコイルをすぐ隣のコイルに接続する巻き方で、並列巻とも呼ばれ、低電圧・大電流の大・中容量機に適している。重ね巻は、電機子巻線の並列回路数と磁極数とが等しい。

重ね巻は、並列回路数が多くなるので、整流を改善するための均圧結線が必要である。

(b)波巻
波巻は、約2極先のコイルに接続する巻線法で、直列巻とも呼ばれ、高電圧・小電流の中・小容量機に適している。巻線の並列回路数は磁極数に無関係で2である。

(2)電機子誘導起電力(逆起電力)E
第1図(添付)に示すような直流発電機の原理図において、電機子巻線(コイル)に発生する誘導起電力eは、磁束密度B(T)、電機子巻線の長さl(m)、電機子巻線の移動速度v(m/s)とすれば、

=Blv(V) (1)

である。ここに磁極間の磁束密度Bは、磁極の磁束をΦ(Wb)、極数をp、電機子の直径をD(m)とすれば、

B=2pΦ/(πDl) (2)

となる。電機子導体の回転速度をn(min^-1)とすれば、この磁界中で電機子巻線が磁束を切る速度vは、

v=πDn/60 (m/s) (3)

である。また電機子巻線の導体総数をZとすると、電機子誘導起電力(逆起電力)Eは(1)~(3)式から、つぎのように求まる。

=eZ/2a=BlvZ/2a
 =pΦZn/60a=KΦn (V)

ただし、K:電圧定数(=pZ/60a)

なお、ここでは直流発電機の電機子誘導起電力を求めたが、直流電動機の場合は、回転に伴って電機子にこの誘導起電力が逆起電力として生じる。

(3)直流チョッパ
直流チョッパは、一定電圧の直流スイッチング素子で、オン・オフを繰り返して出力して直流電圧を変化させる電力変換装置であり、変圧器を用いることなく出力電圧を変化させることが可能である。

直流チョッパは、スイッチング素子で直流をオン・オフして出力しているため、出力波形が断続的になる。このため第2図(添付)に示すようにリアクトルLと還流ダイオード(フリーホイリングダイオード)Dを用いて出力を平滑化している。

スイッチング素子がオフして負荷に流れる電流が減少しようとすると、リアクトルLにはこの電流の減少を妨げようとして逆起電力が発生するとともに、リアクトルLに蓄えられている電磁エネルギーを放出して負荷に電流を供給する。この電流は、リアクトルL、負荷および還流ダイオードDの間を循環する。次にスイッチング素子がオンするとリアクトルLに電磁エネルギーが蓄えられる。

直流チョッパは、このようにしてスイッチング素子Sのオン・オフによる断続的な出力の変化をリアクトルLによる電磁エネルギーの蓄積と放出の繰り返しによって吸収して平滑した直流を負荷に供給する。ただし、リアクトルLだけでは完全に平滑した直流を得ることが難しい。このため負荷と並列に大容量のコンデンサが接続される。

直流チョッパの電源電圧をEd、スイッチング阻止のオン時間をTon、オフ時間をToffとすれば、出力電圧の波形は第3図(添付)に示すようになる。このとき直流出力電圧の平均値Eは次式となる。

=Ton/(Ton+Toff)=αEd

この式のα=Ton/(Ton+Toff)は、通流率またはデューティファクタといわれる。

問2
与えられた変圧器の回路図を描き直すと第1図(添付)が得られる。単巻変圧器では容量を次のように定義している。

線路容量:V=V
自己容量:(V-V)I
=(V-V)/V・V
分路容量:V(I-I

単 巻変圧器の容量は自己容量で決まるが、巻線比が1に近づくほど、負荷容量に比べて自己容量が小さくなるので、材料の節約程度が大きくなる。また、損失も少 なくなり、運転効率が高くなる。しかし、インピーダンスが小さくなるため短絡電流が大きくなり、熱的および機械的な耐力を増す必要がある。また、直列巻線 は、単独で高電圧側に加わる衝撃電圧で耐えるようにしておく必要がある。

単巻変圧器では高圧側と低圧側の巻線が絶縁されていないので、高電圧側に生じた異常電圧が低電圧側に波及することがある。

題意の回路において自己容量Psは、

Ps=(V-V)I=210×238
 =49980(VA)≒50.0(kVA)

である。
また第1図から分路巻線に流れる電流Ipは、I-Iである。この電流Ipは、

Ip=I-I
 =I/0.9677-I
 =I(1/0.9677-1)
 =238.0×(1/0.9677-1)
 =7.943(A)

となる。よって分路容量Ppは、

Pp=V(I-I
 =VIp=6300×7.943
 =50040(VA)=50.0(kVA)

となる。つまり、単巻変圧器の自己容量と分路容量は等しくなる。