金曜日, 5月 30, 2008

OHM練習問題 機械 誘導機(1)問1~補足

ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。

誘導器(1) 問1
【解説】
誘導電動機では、始動時(静止状態)の内部インピーダンスはほぼ一次(固定子)と二次(回転子)の合成漏れインピーダンスとなり、その値は一般に小さいから、全電圧を印加して誘導電動機を始動すると、全負荷電流の4~8倍程度の大きな始動電流が流れることになる。したがって、電源容量、負荷の性質および電動機内部の発熱などを十分考慮し、適切な始動方式をとらなければならない。

(1)三相誘導電動機の特性
図1に示す回路から三相誘導電動機の特性を式で示すと、

トルクT=P/ω
 =3V^2/ω×(r/s)/{(r+r3/s)^2+(x+x)^2}…1

二次電流(一次換算)I2
 =V/√{(r+r3/s)^2+(x+x)^2}…2

ここに、P:二次入力、V:一次相電圧、r:一次抵抗、r:二次抵抗(一次側換算)、x:一次漏れリアクタンス、x:二次漏れリアクタンス(一次側換算)、s:すべり、ω:同期角速度

1.式および2.式をすべりsとの関係で図示すると図2になる。この図のように、三相誘導電動機は始動時に電流が大きく、トルクが小さい。

1.式を見ると、二次抵抗rとすべりsとはすべてr/sの形で入っているので、同一トルクのときのすべりは二次抵抗の値に比例することがわかる。この様子を図3に示す。二次抵抗をR、R、R、R…と変えたとき、同じ負荷トルクTMに対する各場合のすべりをs、s、s、s…とすれば、

/s=R/s=R/s=R/s

となる。この特性を比例推移という。

(2)巻線形誘導電動機の始動方式
巻線形誘導電動機では、前述した比例推移の特性を利用して始動する。巻線形回転子(二次巻線)の端子に可変抵抗器を接続し、その値を次第に大きくしていけば、始動トルクは次第に大きくなり、始動電流は減少する。実際には、始動抵抗は通常、定格トルクの100~200(%)の始動トルクおよび始動電流を得るように選定し、加速して、トルクと電流が減少すると、抵抗を一部短絡して再びもとのトルクが出るようにし、以下をれを数回繰返して最後に全部短絡するようにする。このような始動方式を二次抵抗始動という。二次側に接続する始動抵抗器には、液体抵抗器と金属抵抗器がある。液体抵抗器は電解液中に電極を対向させ、その電極間距離を変えることによって抵抗値を変えるもので、電解液には炭酸ソーダなどの水溶液が用いられる。

(3)かご形誘導電動機の始動方式
かご形誘導電動機では、巻線形誘導電動機のように二次側に抵抗器を接続して始動電流を制限する事ができないので、これを低減するには、一次側に始動装置を用いることが必要である。

(a)全電圧始動
特別な指導装置を用いず、端子に直接電源電圧を加えて始動する方式で、最も簡単な方法である。始動笑劇が問題ならない負荷で、電動機が小容量の場合に最も一般的に用いられる。

(b)スターデルタ始動
常時は固定子巻線がΔ結線で運転される電動機を、始動時だけY結線とし、始動完了後に巻線をΔ結線に戻す方式である。この場合には始動電流および始動トルクは、いずれも全電圧始動の1/3になる。この方式はY結線からΔ結線への切り替えに際して大きな突入電流が流れることがあるのが欠点だが、始動装置が簡単で安価なため、低圧電動機において広く用いられている。

(c)リアクトル始動
電動機端子と電源との間に三相の始動リアクトルを接続して始動し、始動完了後にこのリアクトルを開閉器で短絡する方式である。この方式では、始動電流を全電圧始動の場合の1/aにおさえた場合に、始動トルクは全電圧始動の場合の1/a^2になり、始動電流の減り方より始動トルクの減り方が著しいのが欠点である。負荷トルクが回転速度の2乗に比例するもの(例えばファン・ポンプ)や、負荷への始動笑劇を軽減したい場合に採用される。

(d)保障器始動
始動補償器と称する三相単巻変圧器を用い、電動機端子にかかる電圧を下げて始動する方式である。単巻変圧器により電源電圧を1/aに下げたとすれば、電源に流れるd始動電流および始動トルクは、共に全電圧始動時の場合の1/a^2となる。この特長からリアクトル始動に比べ、大きな始動トルクを出しながら始動電流を制限したい場合に採用される。しかしこの補償器始動では、加速後全電圧に切り替えたときに突入電圧を生じるおそれがある。これをおさえるために、図4に示すコンドルファ方式が用いられる。

以上です。