ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。
制御系の安定判別 問2
【解説】
伝達関数W(s)は、GC(s)とG(s)の直列接続をフィードバックしたものであるから、次式に示すようになる。
W(s)=GC(s)G(s)/{1+GC(s)・G(s)}
=…
=K/(s^3+5s^2+6s+K)…1.
目標値の変更や外乱などが制御系に与えられたとき、この制御系は、現在の安定状態から過渡的に状態を変化させながら次の安定状態へと移行する。このとき制御系の設計や設定に不具合があると、出力が振動したり、発散したりして不安定な状態に陥る。このため制御系が安定であるかどうかをあらかじめ判定することが重要である。制御系が安定であるか不安定であるかを判定する安定判別の方法には、ナイキスト、ラウスおよびフルビッツの安定判別法がある。ここでは、ラウスの安定判別法を用いて解いてみよう。
ラウスの安定判別法によれば、制御系が安定する条件として次の2点を満たすこととしている。つまり、制御系の統制方程式がsの有利多項式で与えられたとき、
1.sのすべての次数の係数が存在し、かつ、すべて正であること
2.ラウスの配列において、第1列(最左列)の要素がすべて正であること
である。制御系の特性方程式とは、伝達関数の分母=0とおいた式のことである。また、ラウスの配列は、例えば特性方程式が、
ans^n+an-1s^n-1+…+a1s+a0=0
として与えられたとき、次のように求めた配列のことをいう。
s^n |an an-2 an-4 …
s^n-1|an-1 an-3 an-5 …
s^n-2|a31 a32 a33 …
s^n-3|a41 a42 a43 …
ただし、
a31=(an-1an-2-anan-3)/an-1
a32=(an-1an-4-anan-5)/an-1
a41=(a31an-3-an-1an32)/a31
a42=(a31an-5-an-1an33)/a31
与式の伝達関数の特性方程式D(s)は、
D(s)=s^3+5s^2+6s+K=0
である。上式からラウスの配列を作ると、
s^3|1 6 0
s^2|5 K 0
s^1|b1 b2
s^0|c1
が得られる。この配列において、
b1=(30-K)/5
b2=0
c1=K
となる。ラウスの安定判別法によれば、ラウスの配列における第1列の値がすべて正のとき安定であるから、この条件を満たすためには、
b1=30-K>0
∴K<30
c1=K>0
∴c1>0
が必要である。よってKの範囲は、0<K<30のように求まる。
この系の入力は0で外乱A1とA2が加えられていると考えて、この制御系に関する信号を図3に示すように割り当てる。
この図において、
A(s)=A1/s-Y(s)
B(s)=GC(s)A(s)
=GC(s){A1/s-Y(s)}
C(s)=B(s)+A2/s
=GC(s){A1/s-Y(s)+A2/s
となるので、
Y(s)=G(s)[GC(s){A1/s-Y(s)}A2/s]
∴Y(s)={GC(s)G(s)A1/s+G(s)A2/s}/{1+GC(s)G(s)
が得られる。
ラプラスの最終値の定理は、
y(∞)=lim・y(t)=lim・sY(s)
(t→∞、s→0)
である。よって、出力y(t)の最終値y(∞)は、次のように求まる。
y(∞)=lim・sY(s)
=…
=lim(KA1+sA2)/{s(s+2)(s+3)}+K
=A1
※ナイキストによる安定判別での解き方を手書に載せています。また、計算過程も手書参照にて…。
以上です。
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