ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。
制御系の安定判別(その2) 問1
【解説】
目標値の変更や外乱などが制御系に与えられたとき、この制御系は、現在の安定状態から過渡的に状態を変化させて次の安定状態へと移行する。このとき制御系の設計や設定に不具合があると、出力が振動や発散などをして不安定な状態に陥る。このため制御系が安定であるかどうかをあらかじめ判定する事が重要である。
言いかえると、制御系に与えられた入力信号が変化したり外乱などが与えられたりすると、この制御系の応答には過渡現象が生じる。この応答が時間の経過とともにある一定値に落ち着けば、この制御系は安定であるという。一方、制御系の応答が時間とともに増大する場合は不安定、時間とともに増大も減衰もせず、一定振幅の振動を継続する場合は、安定限界という。なお、安定限界は、制御系としては好ましい応答とはいえず、一般に不安定として扱うことが多い。
では、この問題で与えられたフィードバック制御系において、制御系が安定や不安定であるというのは、どのような意味があるのかという点について、もう少し検討してみよう。
いま入力信号R(jω)として、図1(a)に示される最大振幅A、周波数fの正弦波交流を入力したとき図1(b)に示される最大振幅Bの主フィードバック信号F(jω)が得られたとする。なお、F(jω)は、R(jω)より位相がθだけ遅れたものとする。
ここで、信号の大きさだけに着目するとA>Bのときは、ループ内を循環するたびに信号が減衰されてやがて消滅する。したがって制御系の出力は、一定の値に落ち着く。すなわち制御系は安定である。一方、A<Bのときは、ループ内を循環するたびに信号が増大されて、限りなく大きな値になる。すなわち制御系は不安定な状態に陥る。
また、位相だけに着目するとF(jω)は、R(jω)より位相が180°遅れている。つsまり∠F(jω)=-180°になると、F(jω)は、加え合わせ点で負の信号として合成、つまり入力信号と同位相(-180°-180°=-360°=0°)になって、加え合わされることになる。したがって、ループ内を循環するたびに信号が増大されて不安定となる。
この問題で与えられた図においてF(jω)は、
F(jω)=C(jω)H(jω)
である。したがって、加え合わせ点における合成出力E(jω)は、
E(jω)=R(jω)-F(jω)
=R(jω)/{1+G(jω)H(jω)}…1
となる。この合成出力E(jω)は、制御系に与えられた目標値と制御量との差を示す量で偏差と呼ばれている。フィードバック制御系は、この偏差が最終的に0になるように制御がなされる。
制御系は1式分母の|G(jω)H(jω)|値によって次のような振る舞いをする。
(1)0<|G(jω)H(jω)|<1のとき:E(jω)は、時間経過とともに減少する。すなわち制御量が一定値に収束するので安定である。
(2)|G(jω)H(jω)|=1のとき:E(jω)は、一定値を維持する。すなわち制御量が一定周期の持続振動を起こすので安定限界となる。
(3)|G(jω)H(jω)|>1のとき:E(jω)は、時間の経過とともに増大する。すなわち偏差が増大して発散するので不安定となる。
以上です。
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