ここの補足、です。
問題文、解答内容については、ここ参照で。
制御系の安定判別(その2) 問2
【解説】
フルビッツの安定判別法は、特性方程式がsの三次式以上であるときや、ベクトル軌跡を得ることが難しい場合などに適用される。
フルビッツの安定判別法は、制御系の特性方程式がsの有理多項式で与えられたとき、制御系が安定する条件として次の2点をあげている。
(1)特性方程式におけるsの各次数の係数がすべて存在し、かつ、同符号であること
(2)フルビッツの行列式Hiの値が、すべて同符号であること
なお、フルビッツの行列式Hiは、フルビッツの行列Hを用い、次のように定義されている。
H=※1参照
具体的には、次式に示すようになる。
※2参照
例えば、図2に示す制御系が安定となるコントローラのゲインKの値を、フルビッツの安定判別法を用いて導いてみよう。
ここでコントローラの伝達関数をG(s)、制御対象の伝達関数をH(s)とすれば、制御系全体の閉ループ伝達関数W(s)は、
W(s)=G(s)H(s)/{1+G(s)H(s)}
=…
=10K(s+10)/{s^3+6s^2+(10K+3)s+100K-10}
…1.
となる。閉ループ伝達関数W(s)の特性方程式は、1.式の分母を0とおけばよい。
s^3+6s^2+(10K+3)s+100K-10=0 …2.
この特性方程式から制御系の安定性をフルビッツの安定判別法で判定する。
まず、フルビッツの安定判別法における(1)の条件を満たすには、次式が同時に成立する必要がある。
10K+3>0 …3.
100K-10>0 …4.
3.4.式からコントローラのゲインKの値は
K>-3/10=-0.3
またはK>10/100=0.1 …5.
となる。よってK>0.1の条件を満たせばよい。
次に(2)の条件を満たすKの値を求めるため、フルビッツの行列式を計算する。
H1=6>0
H2=6×(10K+3)-(100K-19)
=-40K+28>0
∴K<28/40=0.7 …6.
よって、5.6.式からこの制御系が安定であるコントローラのゲインKは、
0.1<K<0.7
と求まる。
以上です。
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